
介護は「いつ・どれくらい・何が起きるか」が読みにくい——だからこそ、設計(仕組み)が効きます。まねTama式は、①見える化→②仕組み化→③分担→④外部資源の4ステップ。完璧な台本ではなく、揺れても戻れる“枠”を置く考え方です。本稿はカテゴリー全体の入口として、各ステップの要点と、既刊記事への導線をまとめました。
STEP1:見える化——“事実だけ”を1枚に集める
判断は後で。まずは混乱を止めるために、事実を短く並べます。
見える化カード(A4×1枚)テンプレ
- 兆し・出来事(日時/場所/具体例)
- 健康情報(診断の有無/服薬/最近の体調変化)
- 生活の様子(食事・排泄・睡眠・迷子の不安など)
- 次の一歩(受診/地域包括へ電話/家族チャット開設)
STEP2:仕組み化——“枠”と“定数”で日常を安定化
時間・お金・在庫の枠(ルール)を置くと、毎日の迷いが激減します。
時間の枠(1日の時間割)
- 4本柱:食事/排泄/活動・休息/睡眠(就寝・起床は±30分)
- 崩れた日は次の枠から再開(“戻る場所”が大事)
お金の枠(三層モデル)
- 層1:月次の土台費用/層2:変動費/層3:特別費
- 口座分け&自動振替、予備費は3〜6ヶ月を段階的に
在庫の枠(定数化)
- 衛生・食品・日用品は閾値(◯個切ったら買う)で運用
- 冷蔵庫「今週棚」1段/買い出しは週2回まで
STEP3:分担——言いっ放しにせず“役割ドラフト”を置く
完璧な分担より、いったんの形が先。3ヶ月ごとに見直します。
役割ドラフト(1枚)項目
- 発信係(地域・医療)/同席係(受診同行)/記録係(要約)
- 緊急時の連絡順と代替者/支払い上限の合意(例:1万円超は事前合意)
- 意思決定ルール:夜の決断禁止/「1人で払わない」
STEP4:外部資源——“地域の地図”を早めに持つ
ネット情報より地域包括支援センターへの一本の電話が近道です。
初回電話で伝えること
- 心配している事実/受診予定/同居・別居/緊急連絡先
- 次の一歩(相談日程/介護保険申請フロー/緊急時窓口)
- 担当者名と連絡先をメモ(地域差の確認)
補論:人を変えず、環境と手順を変える
“困った行動”の多くは、認知機能と環境のギャップから。動線・表示・照明+共感→提案の声かけで摩擦を減らします。
90日プラン:3フェーズで小さく回す
フェーズ1(Day1–30):初動と枠置き
- 見える化カード作成/地域包括へ電話/家族チャット開設
- 時間割の枠/在庫の定数/口座分けの設計だけ決める
フェーズ2(Day31–60):自動化とチェック
- 給料日翌日の自動振替/週予算ボックス(食・衛生・移動)
- 夜の決断禁止/掲示物と誘導灯の整備
フェーズ3(Day61–90):分担の微調整と外部資源
- 役割ドラフトの見直し/ショート・デイの活用検討
- 月次カード&週次レビューで“残す3つ/手放す3つ”
今日の5分でできること
- 見える化カードの見出しだけ作る(兆し/健康/生活/次の一歩)
- 家族チャットを作り、事実3行+写真1枚を共有
- 地域包括支援センターの電話番号をスマホに登録
まとめ:不確実さは“枠”で飼いならす
未来は読めなくても、枠(見える化→仕組み化→分担→外部資源)は置けます。揺れた日は次の枠に戻るだけ。数字も時間も人の気持ちも、混ざりをなくせば扱いやすくなります。まずは今日、5分の一手から。
よくある質問(FAQ)
Q. どこから始めればいい?
STEP1の見える化カードから。判断は後でOK、事実を1枚に。
Q. 家族がまとまらないと進みません
役割“ドラフト”で十分。3ヶ月後に見直す前提で置くと合意しやすいです。
Q. お金が不安で手が止まります
三層モデルで概算レンジを出し、口座分けと自動振替で“混ざり”をなくすところから。
不確実さを、設計で味方に。小さな一手から一緒に。