兆しに気づいたら:最初の72時間にやること7つ(はじまりの準備)

もの忘れ、食事や服薬の抜け、迷子の不安、夜間の落ち着かなさ——「もしかして」が胸に灯ったら、いきなり結論を出さずに最初の72時間をどう過ごすかが、その後の数ヶ月を左右します。大切なのは、事実の記録→受診の準備→家族の連絡線→地域の支え→住まいの安全→日用品の“定数化”→役割のドラフトという“小さく積む順番”。以下、各ステップを15〜30分で終えられる単位に分けました。完璧より、動ける軽さを優先しましょう。医療・法務の判断が必要な点は、専門職に必ず確認を。

本記事は「受診・制度・家族の段取り」を最初の72時間で“迷わず進めるため”の簡易版です。制度は地域差が大きいため、詳細はお住まいの地域包括支援センターで必ず確認してください(連絡先の取り方は本文④参照)。

① 本人の変化メモ(事実だけを短く)【初日・15分】

メモするポイント

  • 気づいた日時と場所/具体的な出来事(例:夕方、コンロを消し忘れ)
  • 頻度(初めて/時々/週◯回)と影響(怪我・金銭・迷子など)
  • 服薬・持病・最近の感染症や入院の有無、睡眠と食事の様子
  • 本人の言葉をそのまま引用(「大丈夫」「覚えていない」など)

判断は後でOK。まずは“見える化”で混乱を止めます。

② 通院準備(受診先・持ち物の型を先に作る)【初日〜2日目・30分】

受診先はかかりつけから相談。紹介が必要なら指示をもらいます。

持ち物ひな形

  • 保険証/各種受給者証/お薬手帳、最新検査結果や紹介状
  • 本人の変化メモと生活環境の写真(台所・浴室など)
  • 困りごとの優先順位(最大3つ)/代理説明の同意可否

③ 家族チャット開設(情報を一箇所に)【初日・15分】

兄弟・配偶者・義家族で専用グループを作成。

最初の投稿テンプレ

  • 事実のみ:日時/出来事/影響/受診予定
  • 暫定ルール:発信係・記録係・緊急連絡先

敵は沈黙と行き違い。共有の場所が早期からの支えになります。

④ 地域包括支援センターへ電話(地図を持つ)【1〜2日目・10分】

住所地の地域包括支援センターへ電話。

伝えること / 確認すること

  • 心配している事実/受診予定/同居・別居/緊急連絡先
  • 次の一歩(相談日程/介護保険申請フロー/緊急時の連絡先)
  • 担当者名と連絡先をメモ(地域差があるため要確認)

⑤ 危険箇所チェック(暮らしの事故を先に止める)【1〜2日目・20分】

今日やる3つだけ

  • 火:ガスの元栓/IHロック/ライターの位置変更
  • 転倒:段差・敷物・コード/夜間の足元灯
  • 迷子と金銭:玄関の二重ロック/連絡カード携帯/現金・通帳の保管

やり過ぎは反発のもと。危険だけ先に引き算します。

⑥ 在庫の定数化(不足不安を“数”で封じる)【2日目・30分】

“足りない不安”は衝動買いと疲労の原因。定数を決めて可視化。

定数の例 / 運用ルール

  • 衛生:トイレットペーパー12/ティッシュ6/手指消毒2/手袋1箱
  • 食:レトルト・冷凍各2〜3/水2L×6本
  • 薬:在庫閾値(◯個切ったら買う)/期限チェック
  • 冷蔵庫に今週棚を作り、左→右ローテーションで使い切り
  • 買い出しは週2回まで(判断コストを下げる)

⑦ 役割ドラフト(合意は“紙1枚”から)【2〜3日目・30分】

ここまでの情報を1枚にまとめ、暫定の役割表を作成。

項目テンプレ

  • 発信係(地域・医療)/同席係(受診同行)/記録係(要約)
  • 緊急時(夜間・休日)の連絡順/代替者
  • 意思決定ルール:「夜の決断禁止」「お金は1人で払わない」
  • 見直しタイミング:3ヶ月ごとに更新

今日の5分でできること

  • 「本人の変化メモ」をスマホに作り、事実を3行だけ書く
  • 家族チャットを作って上の3行を共有(写真1枚添付)
  • 地域包括支援センターの電話番号を登録し、明日の午前に電話

まとめ:迷いを減らし、今日の一手へ

完璧より前進。事実のメモ→受診準備→連絡線→地域→安全→在庫→役割の順で“混乱を設計”に変えましょう。明日は④の電話だけで十分です。

よくある質問(FAQ)

Q. 受診は何科が良い?

まずはかかりつけ内科へ相談し、必要に応じて脳神経内科・もの忘れ外来の紹介を受けるのが無理のないルートです。

Q. 家族がまとまらない時の最初の一歩は?

事実のみの短文と写真1枚を家族チャットへ。意見は後に回し、まず「共有の場所」を作ることが最優先です。

Q. 在庫の定数は多いほど安心?

“定数”は安心の上限設定。過剰在庫は管理負担と無駄に。週2回の補充ルールで十分に安定します。


※ 本記事は一般情報です。症状や制度の適用は個別性が高いため、医療機関・地域包括支援センター・専門職に必ずご相談ください。

初動の混乱を“設計”に。小さな一手から一緒に整えましょう。


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