掛け捨てvs貯蓄型:保障と資産、どちらを主役にする?
生命保険は大きく掛け捨て(定期・収入保障)と、貯蓄型(終身・養老など)に分かれます。
どちらが“得”ではなく、目的(保障か資産)と期間で選ぶのが正解。実務で迷わないために、判断軸と比較フレームを一枚に整理します。
どちらが“得”ではなく、目的(保障か資産)と期間で選ぶのが正解。実務で迷わないために、判断軸と比較フレームを一枚に整理します。
この記事のゴール(3点)
・掛け捨てと貯蓄型の役割の違いを理解する
・家計と期間からの合理的な配分(混合設計)を掴む
・返戻・IRR・流動性など数字の読み方を覚える
まず定義:掛け捨て/貯蓄型の違い
掛け捨て(定期・収入保障)
・期間中の死亡等に備える純粋保障。満期返戻は原則なし。
・同じ保障額なら保険料は割安。必要期間をピンポイントで守れる。
・収入保障は月額×残存期間で逓減=生活費ニーズに合いやすい。
・同じ保障額なら保険料は割安。必要期間をピンポイントで守れる。
・収入保障は月額×残存期間で逓減=生活費ニーズに合いやすい。
貯蓄型(終身・養老・学資 等)
・長期の責任準備金を積み、将来返戻金や配当の設計。
・保障+資産の二刀流だが、費用・流動性に注意。
・長期でこそ効く。途中解約だと返戻率が低い時期が長い。
・保障+資産の二刀流だが、費用・流動性に注意。
・長期でこそ効く。途中解約だと返戻率が低い時期が長い。
判断軸:目的→期間→方式(そして家計の余力)
1) 目的:家族の生活費を守る? 相続・終活の原資を作る? 資産性を重視?
2) 期間:末子独立まで/就労引退まで/一生涯 など“守る年数”。
3) 方式:期間に合わせて収入保障/定期/終身を配分。
4) 家計:固定費化しすぎない。まずは掛け捨てで必要保障を満たす→余力があれば貯蓄型で生涯部分を追加。
2) 期間:末子独立まで/就労引退まで/一生涯 など“守る年数”。
3) 方式:期間に合わせて収入保障/定期/終身を配分。
4) 家計:固定費化しすぎない。まずは掛け捨てで必要保障を満たす→余力があれば貯蓄型で生涯部分を追加。
役割分担(実務の定石)
短〜中期の厚い保障=掛け捨て
子育て期の大口保障は収入保障+少額定期でコスト効率よく。
生涯の小さな保障=終身(貯蓄型)
葬送・相続原資・流動性確保は小額の終身で安定的に。
数字の読み方:返戻率・IRR・流動性
返戻率:払込累計に対する返戻金の割合。初期は低く、長期で上がる。
IRR(内部収益率):キャッシュフローベースの年利換算。いつ解約/満了かで値が大きく変動。
流動性:必要時に取り崩せるか。貯蓄型は序盤の流動性が低い。
ありがちな誤解と短い答え
掛け捨ては損?:“損得”ではなくリスク移転の対価。必要期間だけ厚く守れるのが強み。
貯蓄型は必ず得?:予定利率・費用・税で戻りは上下。途中解約ならマイナスも普通。
終身で全部まかなう?:子育て期の厚い保障を終身だけで賄うと保険料が過大になりやすい。
ミニ比較(概念)
項目,掛け捨て(定期/収入保障),貯蓄型(終身 等)
目的,期間中の保障,一生の小額保障+資産性
保険料,割安(同額保障なら小),高め(長期費用・運用込み)
返戻,原則なし,あり(長期で立ち上がる)
流動性,高い(やめやすい),低め(序盤は特に)
適するニーズ,子育て期の厚い保障,葬送・相続・長期の流動性
目的,期間中の保障,一生の小額保障+資産性
保険料,割安(同額保障なら小),高め(長期費用・運用込み)
返戻,原則なし,あり(長期で立ち上がる)
流動性,高い(やめやすい),低め(序盤は特に)
適するニーズ,子育て期の厚い保障,葬送・相続・長期の流動性
家計への落とし込み:固定費の設計
固定費は手取りの5〜7%程度に収める目安(医療・就業不能等を含む全保険)。
まずは掛け捨てで必要保障額(生活費×年数)を満たし、余力があれば生涯部分を小さく終身で。
まずは掛け捨てで必要保障額(生活費×年数)を満たし、余力があれば生涯部分を小さく終身で。
ケース(概算イメージ)
夫35・妻33・子2(8/5歳)、団信あり。必要保障:月18万円×17年=年金相当3,672万円。
設計例:収入保障(18万円・17年)+教育の山のみ定期300万円。
生涯の準備に終身200万円を小さく追加。固定費は手取りの範囲で管理。
設計例:収入保障(18万円・17年)+教育の山のみ定期300万円。
生涯の準備に終身200万円を小さく追加。固定費は手取りの範囲で管理。
団信・公的保障との整合
団信で住宅残債が0なら、死亡保障は生活費特化でOK。
公的遺族年金は変動が大きいので保守的に0〜50%反映など安全側で設計。
公的遺族年金は変動が大きいので保守的に0〜50%反映など安全側で設計。
意思決定フロー(テキスト)
必要保障額を算定 → 期間を決める → 掛け捨て(収入保障/定期)で厚い部分を確保
→ 生涯の小さいニーズに終身を小さく追加 → 固定費の上限で微調整
→ 生涯の小さいニーズに終身を小さく追加 → 固定費の上限で微調整
比較テンプレ(CSVコピペ用)
同一人物・同条件で横並び比較して決める。
商品,タイプ,保障額/月額,期間,年払(円),返戻(5年),返戻(10年),返戻(20年),満了/終身時,備考
定期(一定額),掛け捨て, , , , , , , ,
収入保障(逓減),掛け捨て, , , , , , , ,
終身(貯蓄性),貯蓄型, , , , , , , ,
定期(一定額),掛け捨て, , , , , , , ,
収入保障(逓減),掛け捨て, , , , , , , ,
終身(貯蓄性),貯蓄型, , , , , , , ,
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まとめ:厚い期間は掛け捨て、生涯の芯は小さく終身
保障と資産を同じ器で完璧に満たそうとすると、どこかで無理が出ます。
子育て期は掛け捨てで厚く・安く、一生の芯は終身を小さく。この分担で、家計の無駄を最小化できます。
子育て期は掛け捨てで厚く・安く、一生の芯は終身を小さく。この分担で、家計の無駄を最小化できます。
※本記事は一般的な解説です。返戻・予定利率・費用・税務は会社・商品・時期で異なります。最終判断は最新の設計書・約款・開示資料をご確認ください。