解約返戻金の基礎:いつ・なぜ・どれくらい戻るのか
解約返戻金は、契約を解約・払済化などで途中清算したときに戻るお金。
「初期が低い・長期で立ち上がる」のはなぜか、どんな要因で増減するのか、見方と注意点を実務目線でまとめます。
「初期が低い・長期で立ち上がる」のはなぜか、どんな要因で増減するのか、見方と注意点を実務目線でまとめます。
この記事のゴール(3点)
・返戻金の正体(準備金の途中清算)と増減要因を理解
・解約・払済・減額・据置など処理別の違いを掴む
・契約者貸付や税・タイミングなど実務の注意点を押さえる
解約返戻金=責任準備金の“途中清算”
保険料の一部は将来の支払いに備える責任準備金として積み立てられます。
解約返戻金は、その準備金を契約ルールに従って途中で清算した金額。
初期に低く、長期で立ち上がるのは、初期費用(販売・事務)が先に差し引かれ、準備金の積み上がりが遅いからです。
解約返戻金は、その準備金を契約ルールに従って途中で清算した金額。
初期に低く、長期で立ち上がるのは、初期費用(販売・事務)が先に差し引かれ、準備金の積み上がりが遅いからです。
返戻金に効く主な要因(肌感覚)
契約年数
初期は低く、中期以降で上昇。満了近くでピークへ。
予定利率
割引率。低下すると必要準備金↑→返戻期待は弱くなる傾向。
費用構造
販売・管理費の厚みで初期の返戻が変わる。
配当有無
配当型は実績差(利差・死差・費差)次第で上乗せ余地。
推移イメージ:初期低→中期上昇→満了期ピーク
同じ契約でも、いつ解約するかで返戻率は大きく変わります。
設計書の返戻推移表(5年/10年/20年/満了など)で、山の位置を確認しましょう。
設計書の返戻推移表(5年/10年/20年/満了など)で、山の位置を確認しましょう。
「解約」「払済」「減額」「据置」の違い
解約
契約を終了し、返戻金を受け取る。以降の保障は消滅。
払済(はらいずみ)
返戻金を原資に保険金を縮小して契約を継続。以後の保険料は不要。
減額
保険金を一部減らして保険料を引き下げる。契約は維持。
据置
満期金・配当等を受け取らずに据置運用。利率・期間は商品で異なる。
契約者貸付の影響:元利相殺に注意
返戻金を担保に借りている場合、解約時は貸付元本+利息が相殺されます。
借入が長期化すると返戻が想定より減ることも。利率・元利の確認を忘れずに。
借入が長期化すると返戻が想定より減ることも。利率・元利の確認を忘れずに。
税の概観(超概要)
返戻金の課税は、契約者・被保険者・受取人の関係や、受取形態(一時金/年金)で取り扱いが変わります。
ケースにより課税区分(所得・贈与 等)が異なるため、最新の資料で確認してください。
ケースにより課税区分(所得・贈与 等)が異なるため、最新の資料で確認してください。
実務チェック:解約前に見るべき表と注記
・設計書の返戻推移表(5年/10年/20年/満了・払込満了時)
・配当型なら配当の扱い(積立・充当・受取)とシナリオ
・予定利率や費用の注記(改定・条件変更の有無)
・契約者貸付があれば残高・利率・相殺後の見込額
タイミングの考え方:更新・払込満了・税の期末
返戻率の山は商品ごとに異なります。更新直前・払込満了前後は返戻が動きやすい局面。
家計や税の期末に合わせ、総額比較で最適な時期を選びます。
家計や税の期末に合わせ、総額比較で最適な時期を選びます。
ケース(概算イメージ)
終身(貯蓄性)・払込20年・加入7年目。返戻率:5年 65% → 10年 80% → 20年 100%想定。
7年での解約は返戻率70%台で初期費用の影響が残る。必要保障と家計に照らし、払済で保有する選択肢も検討。
7年での解約は返戻率70%台で初期費用の影響が残る。必要保障と家計に照らし、払済で保有する選択肢も検討。
意思決定フロー(テキスト)
返戻推移表を確認
├─ 返戻率が初期で低い → 焦って解約しない/払済・減額を検討
├─ 保障が不要になった → 税・家計・時期を確認し解約へ
└─ 保障は要るが負担過多 → 減額 or 払済で保有、乗換えは【承諾後】に旧契約処理
├─ 返戻率が初期で低い → 焦って解約しない/払済・減額を検討
├─ 保障が不要になった → 税・家計・時期を確認し解約へ
└─ 保障は要るが負担過多 → 減額 or 払済で保有、乗換えは【承諾後】に旧契約処理
比較テンプレ(CSVコピペ用)
「解約」「払済」「減額」を並べると判断がクリアに。
選択肢,返戻(見込),今後の保険料,残る保障,注意点
解約,¥ ,¥0,なし,税・期末・貸付相殺
払済,¥ ,¥0,縮小後の保障あり,返戻の将来推移
減額,¥(一部発生の有無),¥(軽くなる),一部継続,条件・特約の扱い
解約,¥ ,¥0,なし,税・期末・貸付相殺
払済,¥ ,¥0,縮小後の保障あり,返戻の将来推移
減額,¥(一部発生の有無),¥(軽くなる),一部継続,条件・特約の扱い
よくある落とし穴と回避策
初期で解約:返戻が低い時期に感情で解約→大きなロス。まずは払済・減額を検討。
貸付の見落とし:相殺で返戻が想定より下振れ。残高と利息を必ず確認。
配当の取り扱い:積立/充当/受取で推移が変化。設計書の注記を読む。
税の取り扱い:人・お金の流れで課税区分が変わる。迷えば専門家へ。
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まとめ:返戻は“設計の意図”の鏡。表と注記で判断
解約返戻金は、準備金・予定利率・費用・配当の結果。
感情で動かず、返戻推移表と注記、貸付・税を確認し、解約/払済/減額を総額で比較して決めましょう。
感情で動かず、返戻推移表と注記、貸付・税を確認し、解約/払済/減額を総額で比較して決めましょう。
※本記事は一般的な解説です。返戻の水準・配当の扱い・税務は会社・商品・時期で異なります。最終判断は最新の設計書・約款・開示資料をご確認ください。