FPが教える運用方法では、ほとんどお金は増えない!?
FPのテキストに書かれている内容やその理論が間違っているという話ではありません。
それらに記されている理論や概念自体は、その上位概念から導き出されたものであり、非常に精査されたものです。
ここで云うFPとは、「ファイナンシャルプランナーとしてどうあるべきか」ということと、「ファイナンシャルプランニング」の両方を意味しています。
この2つはFP業務を行う上で欠くことのできないスキームであり、スキルでもあります。
しかし、実際のところ、資格取得のために勉強はしたものの、それ以降独自で研究したり、研鑽し続けているFPは稀です。
また、誠に残念ですが、FP資格を金融商品を販売するための一種のアクセサリー程度にしか思っていない人も多いようです。
それは、FPの本来あるべきスタンス(FP協会のHPにその詳細が記されている)から大きくかけ離れたものです。
ですから、FP資格を有していることと、実践的なファイナンシャルプランを行っていることは別物です。
また、独立系FPと称しながら、その実、金融商品販売を主目的とした独立系モドキも非常にたくさん存在します。
実際、特定した保険会社、証券会社、不動産会社などからのコミッション(手数料)が、主な収入源になっている人がほとんどです。
また、相談料が無料というのも、そうしたことのカモフラージュである場合が多いようです。
ですから、お金の勉強をしましょうと言いながら、それが顧客の利益を最大化するためではないことが往々にしてあるのです。
そういうことは、本来であればハッキリと明示しなければならないことになっているのですが、残念ながら、あまり守られていないようです。
一方、FPプロは、コンサル、相談、講演、研修(フィー)などを主な収入源としているので、特殊な場合でない限り無料ということは考えられませんし、商品を勧めるようなこともほとんどありません。
余計な手間や問題(信頼を損なう)が生じて返って損する可能性があるからです。
また、プロは成果を重視しているので、成果のない場合は全額返金する覚悟を持って臨んでいる方が多いようです。
実際私はそうしたプロとしかお付き合いがありませんし、そういう覚悟のない方とは交流したいとも思いません。
商品販売がメインのマネースクール?
お金の基礎を学びましょう、賢くお金を増やしましょう、といった類のキャッチフレーズで、各地でマネースクールなどが行われています。
しかし、そもそもお金の基礎を学んだところで、お金は増えません。
本当にお金を増やすのが目的なら、もっと複雑で実践的なことを知らなければならないからです。
例えば、ドルコスト平均法などの分散投資は、リスクを軽減する方法であって、利益を最大化する考え方ではありません。
投資家として有名なウォーレンバフェット氏は「素人は値上がり銘柄を選ばないで、投資先を分散しコストを最小限に抑えた方が良い結果が得られる」
といっています。
また、「分散とは無知に対するリスク回避だ。だから勝手知ったる者にとって分散手法はほとんど意味を成さない。広範囲な分散投資が必要となるのは、投資家が投資にうとい場合のみだ。50から75の銘柄管理は私の手に余る。ノアの箱舟の投資をすれば、結局は動物園みたいなありさまになるだけだ。私は数銘柄を大量に持つのが好きだ」
ともいっています。
これは一つのカテゴリー(ペーパーアセット)についての解釈ですが、実際多くの利益を得ている人たちは、予めお膳立てされた仕組みを蔑視さえしています。
例えば、この分散投資を強調した商品が、ずっと以前から人気のある投資信託です。
でも、彼らはこのカテゴリーには、ほとんど投資していません。
投資していたとしても、市場心理を知るめにテスト的な意味合いでお金を置いている程度です。
彼らは、こうした予め用意された仕組みではなく、分散の仕組みそのものをつくることを好みます。
資産家(運用等でたくさんのお金を得た人)やお金の流れをつくり出す専門家に聞いたら直ぐに分かるはずです。
彼らはきっとこう云うでしょう。
投資信託!?それはポンジ・スキーム(詐欺的な仕組の一種)だよ!と。
こうした理由から、私たちは契約を譲渡して、8年前に投資信託を扱う事業から撤退しました。
また、一時年金などの保険商品も、機会損失を生み出す商品だと断言しています。
ですから、それらに結びつけようとしているFPは「顧客の資産形成よりも自分たちの利益に目が向いている」といってほぼ間違いないでしょう。
つまりそれは、顧客の利益を守るどころか、痛めてしまうことさえある行為です。
機会損失の罠からあなたの資産を救い出そう!
あなたが既に「販売側の利益を優先した仕組み」に、あなたの資産を委ねたままだとしたら、まずそこからお金を救い出してあげましょう。
ただし、そこには救い出すための条件というものがあります。
元本保証のある商品などは、解約した際にペナルティーが発生する場合があります。
ですから、ペナルテー分を取り戻せるだけの仕組みを所有している必要があります。
ペナルティーのないものは、おそらく投資商品でしょうから、それほど注意する必要もないでしょう。
収益性の薄い商品に、お金を委ねていること自体が機会損失であることに早く気付いて欲しい。
「収益性の薄い仕組にお金を置いておくくらいなら、普通預金に預けておいた方がよっぽどマシだ!」
これは2年で資産を十億円増やした教え子の言葉です。
彼が言いたかったことは、収益性が薄いものは利益よりも損失が発生する可能性の方が高い。
だから、普通預金に預けておけば、少なくとも余計な損失を被らなくていいし、無駄な心配もせずに済む。
それに、自己資本率をあげると収益性が向上するようなことが発生した時に、そのお金を回せれば一石二鳥だ!
つまり、そういうことです。
お金の知識によって、お金が増えるわけではない!?
大きな勘違いの一つが、お金の知識があればお金が増えたり、お金持ちになれる、と思っていることです。
だから、お金の知識を得ようとしてセミナーに参加したり、FPに相談したりするのでしょう。
しかし、お金の知識があっても、お金は増えませんし、もちろん、お金持ちにもなれません。
もしそうであれば、金融機関に勤務している人やその関連の仕事をしている人(評論家も含む)は、皆お金持ちになっているはずです。
でも実際はそうではありません。
その逆といっても言い過ぎではないかも知れません。
では、なぜそのような事態になっているのでしょうか?
彼らは利益の薄い商品を販売し、その結果を日常目の当たりにしているため、投資というものに対して尻込みしてしまうのです。
あるいは、ポジショントークを繰り返しているうちに、だんだん思考が曇ってきて、ついに市場の動きがわからなくなってしまったのです。
つまり、投資に対して偏見が生じてしまい、本来の投資とはどういうものなのかを体験できていないのです。
これが行動ファイナンスで云うところの、プロスペクト理論(利益より損失回避を優先する・・・)であり、認知心理学で云うところの認知バイアス(経験などからくる偏見等)です。
だから、彼らのほとんどは、その旨味も知りませんし、理論的なリスク尺度は測れたとしても、実践的なリスク尺度もわかりません。
そこには個人の類似性(心理学や脳科学の視点)や思考プロセス(認知科学的な視点)が大きく影響しているからです。
ということで、結局自分たちの勉強不足を補い、かつ責任リスクを軽減できるような、投資信託や元本保証の商品を売らざるを得ない、というわけです。
つまり、ほとんど投資体験もない、素人に毛の生えた程度の人から学んだところで、まともな資産形成ができるわけがありません。
髪をカットしてもらうなら、見習いよりもコンクールで表彰されたプロにカットしてもらった方がいいのです。
ましてや多くのお金を委ねるわけですから、そこはもっと慎重に選択するべきだと思います。
また、投資に強くなるためには、別の視点が必要であり、投資に適したそれなりのマインドセット(思考法)を養っていくことが大切です。
市場構造を考えれば分かることですが、金融の仕組は自分が開発したものではなく、すでに世の中に浸透しているものです。
その仕組を上手く活用して、他者より有利に振る舞わなければならないわけですから、お金そのものの知識を得たところで意味がありません。
ですから、本当に学ばなければならないこと、それはお金の知識そのものではありません。
それは「投資に強い思考プロセスの構築方法」を学ぶことです。