住宅ローン×団信:どう組む? 何を外す?——重複を減らしてムダなく守る
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)は、返済者が死亡・高度障害になったときに残債をゼロにする“住宅専用の保険”。
団信がある前提で生活費の保障はどう設計し、既存の生命保険は何を調整すべきか。実務に使える線引きとチェックをまとめます。
団信がある前提で生活費の保障はどう設計し、既存の生命保険は何を調整すべきか。実務に使える線引きとチェックをまとめます。
この記事のゴール(4点)
・団信の基本(対象事由・残債ゼロ化)と金利上乗せの考え方を掴む
・連帯債務/ペアローン/連生型の違いと持分ルールを理解
・団信前提での収入保障・定期の最適化(二重計上を外す)
・借換え・持病・特約選択の落とし穴を避ける
団信のしくみ:住宅残債にだけ効く“専用保険”
団信は、契約者が死亡または所定の高度障害になったときに、住宅ローン残高を保険金で返済し、残債を0にします。
一般に失業や傷病での就業不能(軽症)は対象外。就業不能特約や三大疾病特約は別途付加の扱いです(金融機関・商品により異なる)。
一般に失業や傷病での就業不能(軽症)は対象外。就業不能特約や三大疾病特約は別途付加の扱いです(金融機関・商品により異なる)。
代表的なバリエーション:一般団信/がん・三大疾病付/就業不能付/ワイド団信(持病配慮)/機構団信(フラット35) 等
コストの肌感覚:特約を足すほど金利上乗せ(または保険料負担)が増える。長期総額で判断。
夫婦の借り方で変わる“守られ方”
連帯債務
2人で1本のローン。それぞれ団信加入が前提(機構団信は原則主債務者のみ→配偶者分は別特約や保険で補う場合あり)。
ペアローン
各自が別ローン+各自団信。どちらかに事由発生→その人のローンだけ0。もう一方の返済は継続。
連生型(デュアル)
夫婦どちらか1人でも事由発生で残債全額0(上乗せコスト大)。リスクは広くカバー。
※持分(共有割合)と誰がどれだけ返しているかで、団信+生命保険の配分を調整します。
団信があるなら:住宅分は“控除”、生活費に集中
団信で住宅残債がゼロになる前提なら、死亡保障は生活費のフローに寄せるのが合理的。
一時金は教育の山・初期費用分だけを薄く重ね、ベースは収入保障で月次を守ると過不足が少ない設計になります。
一時金は教育の山・初期費用分だけを薄く重ね、ベースは収入保障で月次を守ると過不足が少ない設計になります。
必要保障額(団信あり版)= 〔遺族生活費+教育費+住宅維持費(税・管理費)+一時費用〕 − 〔公的保障+資産+会社給付〕
※ 住宅「残債」は団信で控除。維持費は継続費として残す。
※ 住宅「残債」は団信で控除。維持費は継続費として残す。
特約は“足し算”でなく“必要最小限”を選ぶ
三大疾病・がん特約:発症定義・上皮内がん取扱・待期・一時金/免除の条件を確認。金利上乗せの総額で比較。
就業不能特約:支給条件(入院要件/自宅療養の扱い)と期間上限。所得補償保険との役割分担で二重を避ける。
インフレ:指数連動の有無・上限をチェック。なければ収入保障の月額を1〜2万円厚めに。
借換え・持病の注意:団信は“新規の審査”になる
借換え時は団信の告知・審査を再度受けます。通らない場合は借換え自体が不可、またはワイド団信で金利上乗せになることも。
持病・服薬歴は事前に確認し、ローン条件のメリットと保険コストの増加を総額で比較します。
持病・服薬歴は事前に確認し、ローン条件のメリットと保険コストの増加を総額で比較します。
税・名義の基礎:受益と負担の整合をとる
団信でローンが0になっても、固定資産税・管理費・修繕積立金は続きます。所有名義(持分)・返済負担・生活費の分担に整合を。
夫婦で持分が偏っている場合、死亡時の資金流動性(相続・名義移転費用)も別途検討を。
夫婦で持分が偏っている場合、死亡時の資金流動性(相続・名義移転費用)も別途検討を。
設計フロー:団信ありのときの“外し方”
1. 必要保障額を再計算
住宅残債を控除、維持費だけ残す。必要保障額の出し方参照。
2. 方式の配分
ベース=収入保障。ピーク資金は少額の定期を足す。
3. 特約の選別
就業不能・三大疾病は条件と総額を比較。所得補償/医療との重複を点検。
ケース例(概算)
夫35・妻33・子2(8/5歳)、持家ローン3,500万円、団信あり(死亡・高度障害)。
団信で残債0 → 生活費月18万円×17年=年金相当3,672万円を収入保障で設計。
入学時の一時費用等に定期300万円を追加。住宅維持費(固定資産税・管理費)は年間20万円×17年=340万円を生活費側に含める。
団信で残債0 → 生活費月18万円×17年=年金相当3,672万円を収入保障で設計。
入学時の一時費用等に定期300万円を追加。住宅維持費(固定資産税・管理費)は年間20万円×17年=340万円を生活費側に含める。
チェックリスト(コピペ用)
項目,現状,要確認/メモ
借入方式(単独/連帯債務/ペア/連生), ,
団信タイプ(一般/三大疾病/就業不能/ワイド等), ,
金利上乗せ(%)・総額試算, ,
持病・服薬の告知, ,
持分と返済割合の整合, ,
団信対象外の費目(維持費・固定資産税 等), ,
収入保障の月額・期間(末子独立まで), ,
定期(一時金)の額・用途(教育の山 等), ,
既存保険の重複(住宅分の外し/減額/払済), ,
借換え時の団信再審査の可否・条件, ,
借入方式(単独/連帯債務/ペア/連生), ,
団信タイプ(一般/三大疾病/就業不能/ワイド等), ,
金利上乗せ(%)・総額試算, ,
持病・服薬の告知, ,
持分と返済割合の整合, ,
団信対象外の費目(維持費・固定資産税 等), ,
収入保障の月額・期間(末子独立まで), ,
定期(一時金)の額・用途(教育の山 等), ,
既存保険の重複(住宅分の外し/減額/払済), ,
借換え時の団信再審査の可否・条件, ,
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まとめ:団信で“家”は守られる。だから生活費に集中
団信が住宅残債をゼロ化してくれる分、生活費のフローをどう守るかが生命保険の主戦場。
特約は必要最小限、教育の山は少額の一時金で補い、全体は収入保障でシンプルに設計するとムダが出にくくなります。
特約は必要最小限、教育の山は少額の一時金で補い、全体は収入保障でシンプルに設計するとムダが出にくくなります。
※本記事は一般的な解説です。団信の対象事由・特約条件・金利上乗せは金融機関・商品により異なります。最終判断は最新の商品概要・約款・設計書をご確認ください。