住宅購入に関しては現金で買う人はよほどの高収入の方しかありえない話であり、サラリーマンの多くは親族からの贈与・出世払いの借入等に頼る以外は、ほとんどが金融機関・銀行や信用金庫からの借入によって住宅購入を実現したことでしょう。
私も25年間のローンで借入してマイホームを手にすることができたのでしたが、借入した時は、借入残高の1%が住宅取得控除という仕組みがあって10年間はその恩恵を受けることができるという話を金融機関の営業マンから受けていたのでした。
ところが、その所得控除の話は、融資残高が1000万円を超えているときに適用されるということを説明されていたのでしょうか、私が聞き逃したのでしょうか、そのことについてはまったく用心していなかったのです。
当初借入から5年経過したあとに、私の都合で勤めていた会社を退職することになったわけですが、退職金が支給されることになり、さてその退職金をどうしようかということになりました。
預金しようか、運用にまわすかをさんざん議論しましたが、当時から低金利でしたので預金したとしても、金利はまったく魅力がありませんでしたから、低金利だとはいっても10年間の固定金利で2%近い金利がかかっていた住宅ローンに返済することになったのです。
退職金の全額というわけではありませんでしたが、銀行に一部返済を実行してもらい、またその時も銀行の方からは、繰上げ返済したときの影響はこうなる等のトークは一切なかったのですが、住宅ローン残高は1000万をきることになり、返済期限も大幅に短縮になりよかったと思っていたのでした。
ほどなく次の企業に再就職し、年末調整の時期になったものですから福利厚生の担当者に住宅ローン減税の証明書を添付して還付を受けようとしましたら、待てど暮らせど銀行からその年の年末調整に使う残高証明書が送付されてこないわけです。
やや怒った感じの表情をした私は、銀行の窓口に照会したのですが、規定により残高証明を発行できないとのこと、その規定というのが件の融資残高の絡みで、そもそも私の住宅ローンは繰上げ返済をしてしまったことにより減税対象ではなくなってしまったということなんです。
確かに自己責任という言葉がキーワードのように言われている世の中ですから、何も申し開きをすることはできませんでした。
繰上げ返済を考えている人は、年末調整のことも考慮に入れて熟慮のうえで実行するようにしたいものです。
繰上げ返済のメリットとデメリット
メリット
- 利息の軽減: 繰上げ返済を行うことで、総返済額が減少し、支払う利息が軽減されます。
- 返済期間の短縮: 繰上げ返済により、ローンの返済期間が短縮され、早期に住宅ローンを完済することができます。
デメリット
- 税制優遇措置の失効: 住宅ローン減税の対象から外れる可能性があり、所得控除が受けられなくなることがあります。
- 流動性の低下: 一度繰上げ返済に使用した資金は、再度引き出すことができないため、急な出費に対応できる流動性が減少します。
繰上げ返済を検討する際のステップ
- 総合的な資産計画の見直し
- 繰上げ返済を行う前に、現在の資産状況と将来の資金需要を見直し、十分なキャッシュフローが確保できるかを確認しましょう。退職金や貯蓄を繰上げ返済に充てる前に、他の資金用途(教育費、医療費、老後資金など)も考慮する必要があります。
- 税制優遇措置の確認
- 住宅ローン減税の適用条件や期間を確認し、繰上げ返済による影響を把握しましょう。住宅ローン控除は、多くの場合10年間の所得控除が受けられるため、この恩恵を最大限に活用することが重要です。
- 金融機関との相談
- 繰上げ返済を検討する際には、金融機関に相談し、繰上げ返済の影響や具体的な手続きを確認しましょう。また、繰上げ返済に関する手数料やその他の条件も事前に把握しておくことが重要です。
- シミュレーションの実施
- 住宅ローンの返済計画をシミュレーションし、繰上げ返済後の総返済額や利息軽減効果を確認しましょう。これにより、繰上げ返済のメリットとデメリットを具体的に理解できます。
今後の対策
- 継続的なファイナンシャルプランニング
- 定期的にファイナンシャルプランナーに相談し、ライフイベントや経済状況の変化に応じた資産計画を見直すことをお勧めします。これにより、最適な資産運用と負債管理が可能となります。
- 教育と情報収集
- 住宅ローンや税制優遇措置に関する知識を継続的に学び、最新の情報を収集することが重要です。セミナーやオンラインリソースを活用して、金融知識を深めましょう。
- リスク管理
- 繰上げ返済による資金の流動性低下を防ぐため、緊急時に備えた予備資金を確保しましょう。また、繰上げ返済を行う際には、適切なリスク管理を行い、将来の不測の事態に対応できるよう備えましょう。
まとめ
住宅ローンの繰上げ返済は、利息軽減や返済期間の短縮といったメリットがありますが、税制優遇措置の失効や流動性低下といったデメリットも伴います。繰上げ返済を行う際には、総合的な資産計画の見直し、税制優遇措置の確認、金融機関との相談、シミュレーションの実施が必要です。また、継続的なファイナンシャルプランニング、教育と情報収集、リスク管理を行い、最適な資産運用と負債管理を目指しましょう。