夫婦で退職計画を話し合う前に知っておきたいこと

退職後の生活は、お金の準備だけでは不十分です。
実は「夫婦の価値観や暮らし方の一致」こそが、安心して穏やかな老後を送るための大切な土台になります。

どれだけ資産があっても、片方は「海外旅行に行きたい」、もう片方は「自宅で家庭菜園を楽しみたい」というように
思い描くライフスタイルが違えば、資金計画や日々の暮らし方は大きく変わってきます。

だからこそ、退職を迎える前に夫婦でしっかり話し合い、価値観とお金の優先順位を共有することが欠かせません。

この記事では、夫婦で退職計画を話し合うときの3つのコツを、やさしく分かりやすくご紹介します。
最後には、会話の整理や資金計画の土台作りに役立つ「暮らしとお金の見える化スターターキット」もご案内します。

コツ1:お金の話は「暮らしのイメージ」から始める(夫婦の退職計画・会話ガイド)

夫婦で退職計画を話し合うとき、最初から「老後資金はいくら必要?」と数字に踏み込むと、相手が身構えたり議論が平行線になりがちです。
まずは暮らしのイメージ(価値観)を言語化して共有することが、建設的な資金計画につながります。

ステップA:会話の入り口を整える(15分)

数字の前に、生活像から話す土台づくり。短時間でも効果があります。

質問テンプレ(どちらかが司会役)

  • 時間:退職後の1週間、どんなリズムで過ごしたい?(例:週2回は運動/週1回は孫と過ごす)
  • 場所:今の住まいに住み続ける?地方・海外の「二拠点」案は?
  • 人間関係:家族・友人・地域活動との関わり方は?
  • 体験:やってみたい趣味・旅行は?頻度は?
  • 働き方:パートやボランティアなど、収入や社会参加の希望は?

NGワード/OKフレーズ

  • NG:「それは無理」「お金がないからやめよう」
  • OK:「まずはイメージを出し切ろう」「実現の仕方を一緒に探そう」

ステップB:価値観マップを作る(10分)

二人のやりたいことを「重要度×費用感」で可視化します。

やりたいこと 頻度・期間 重要度(★1〜5) 費用感(月/年) メモ(代替案)
国内温泉旅行 年2回×2泊 ★★★★☆ 年12万円 オフシーズン活用で費用圧縮
週1テニス 通年 ★★★☆☆ 月5千円 区施設でコスト最適化
孫サポート 月2回 ★★★★★ 交通費中心 回数を固定し予算化

ステップC:合意形成のミニワーク(10分)

二人のリストを統合し、優先順位を合意します。

優先順位テンプレ(各自3つ選ぶ→重なる項目は優先度UP)

  1. 最優先(Must)×3:二人とも高重要度のもの(例:健康維持、孫時間)
  2. 準優先(Want)×3:どちらかが強く希望、もう一方が許容できるもの
  3. 見送り(Later):今は保留。代替案・頻度調整案を検討

合意の言い回し例:
「今年は国内旅行を優先、海外は2年後を目標に。費用は特別費から年12万円までにしよう」

ステップD:お金の話に橋渡し(5分)

暮らし像が共有できたら、そこで初めて数字に移ります。

生活費への落とし込み

  • 基本生活費:食費・光熱・通信・住居・保険(固定費)
  • ゆとり費:旅行・趣味・交際費(価値観マップの合意額を反映)
  • 医療・介護備え:毎月の積立 or 予備費

ここまで決まれば、ねんきん定期便+退職金見込み+運用取り崩しで不足額を試算し、現実的な計画に繋げられます。

よくある行き違いと回避策(SEO用Q&A)

Q. 片方が「数字の話は苦手」と乗ってこない

A. まずは写真や雑誌で「行きたい場所・やりたいこと」を切り抜くビジュアル法から。数値は司会役がサポート。

Q. 価値観が真逆でまとまらない

A. 頻度・時期・予算を調整する「折衷案」を提案(例:海外は2年に1回、代わりに近場の旅行を増やす)。

Q. 話し合いが感情的になる

A. タイマー20分+休憩5分のポモドーロ式で区切り、感情の再起動を。

この章のまとめ

  • 数字の前に暮らし像(価値観)を共有するのが近道。
  • テンプレと表で見える化し、合意形成をスムーズに。
  • 合意した暮らし像→生活費→年金・退職金・運用で不足額試算へ繋げる。

次章では、合意した暮らし像を年間生活費へ落とし込む手順と、簡易シミュレーションの作り方を解説します。