
はじめに──退職後の「過ごしたい毎日」から逆算しよう
退職後、あなたはどんな時間を過ごしたいですか?世界を旅する、孫とゆっくり遊ぶ、長年の趣味に没頭する──どれも素敵な未来です。大切なのは、その夢をお金の不安に邪魔されない形で叶えること。そこで役立つのが、やさしく始められる退職計画(リタイアメント・プラン)です。
退職計画は「難しい試算」よりも、まずは暮らしのイメージから。毎月どれくらいの生活費があれば心地よく過ごせるか、医療や旅行などの“増える出費の山”はいつ来そうか――そんな生活目線を土台にすると、数字も自然と決まっていきます。
本記事では、今日からできる4つのステップ(始める時期/必要額の目安/資金づくりの方法/リスク対策)を、無理なく続けられる順番で紹介します。完璧を目指さず、“ちいさく始めて、続けながら整える”。それが未来の安心につながります。
ステップ1:いつから始める?──答えは「今日から」
退職計画に「早すぎる」はありません。理想は30代からですが、40代・50代からでも十分間に合います。大事なのは、完璧な準備よりもいま一歩を踏み出すこと。時間は“味方”にも“敵”にもなります。早く始めるほど、無理のない積立と複利の力が働きます。
年代別の始め方イメージ
- 30代:家計の土台づくり期。生活防衛費(3〜6か月分)を先に確保しつつ、つみたて投資で毎月の自動化をセット。
- 40代:支出のピークに備える期。教育費や住宅費を見直し、積立額を段階的に増額。ボーナスは一部を退職資金へ。
- 50代:仕上げとリスク調整期。退職までの年数を見ながら、値動きの大きい資産比率を少しずつ下げる(リバランス)。
“今日から”チェックリスト(10分でできる)
- 退職までの年数をざっくり書き出す(例:あと18年)
- 月いくら積み立てられるか決める(例:2万円)
- 自動積立の設定日を決める(給料日翌日にすると続きやすい)
- 生活防衛費の口座と、積立投資の口座を分ける
ベストなタイミングはいつも「いま」。まずは少額でも仕組み化して、来月も同じ行動が続く設計にしましょう。
ステップ2:必要な資金の目安を立てる
退職後に必要な生活費は人それぞれですが、一般的な目安は年間生活費の20〜25倍です。これは、資産を取り崩しながら長期的に生活を支えるための安全ラインと言われています。
計算例
- 年間生活費が400万円の場合 → 必要資金はおよそ8,000万円〜1億円
- 年間生活費が300万円の場合 → 必要資金はおよそ6,000万円〜7,500万円
数字だけ見ると大きく感じますが、退職金や年金も含めた総合計画で考えると、足りない部分は明確になり、対策も立てやすくなります。
分割ゴールで安心感を持つ
一度に大きな額を目指すのではなく、以下のように「小さな通過点」を設定しましょう。
- 5年後までに〇〇万円
- 10年後までに〇〇万円
- 退職時までに〇〇万円
こうすることで、計画が現実的になり、達成感も得られます。
チェックポイント
- 現役時代の生活費を正確に把握しているか
- 年金見込額を確認しているか(ねんきん定期便など)
- 退職金の見込み額を調べているか
- 不足分を何年で埋めるか計算しているか
目標額がはっきりすると、資金づくりの方法も選びやすくなります。次は、具体的な資金のつくり方を見ていきましょう。
ステップ3:資金をどうつくる?──安全性と成長性のバランス
退職資金づくりは、安全性と成長性をバランスよく組み合わせるのがポイントです。預金だけではインフレに弱く、投資だけでは相場の変動リスクが大きくなります。目的や期間に応じて、複数の方法を組み合わせましょう。
主な資金づくりの方法
- 定期預金・普通預金:安全性は高いが利回りは低め。生活防衛資金や近い将来使うお金を置く場所に。
- 積立投資(投資信託・ETF):長期での成長を狙える。株式や債券を組み合わせてリスク分散。
- 公的年金・企業年金:将来の基礎収入として重要。受給開始年齢や金額を把握しておく。
- 個人年金保険:老後の定期的な収入源として設計可能。インフレ耐性は低め。
子育て世帯でも無理なくできる組み合わせ例
- 生活防衛費(6か月分)を普通預金に確保
- 余裕資金の一部を毎月の積立投資に回す
- 企業型確定拠出年金(DC)がある場合は最大限活用
- ボーナスは一部を退職資金用に貯蓄
生活目線アドバイス
子どもの教育費や住宅ローンと重なる時期は積立額を減らしてもOK。無理せず続ける仕組みの方が、長期的には成果につながります。
次は、退職計画で見落とされがちな予期せぬリスクへの備えについて解説します。
ステップ4:予期せぬリスクに備える
退職後の暮らしには、計画だけでは想定しきれないリスクがつきものです。健康の変化や物価上昇、相場の下落など、想定外の出来事があっても生活が揺らがないように、事前の備えが必要です。
主なリスクと対策例
- 健康リスク:医療保険やがん保険、介護保険の検討。健康診断を定期的に受け、医療費の予備費を準備。
- インフレリスク:物価上昇に強い資産(株式、REIT、金など)をポートフォリオに組み入れる。
- 相場変動リスク:年齢や退職までの年数に応じて、値動きの大きい資産の比率を少しずつ減らす(リバランス)。
- 長寿リスク:予想より長く生きることによる資金不足に備え、年金や定期収入型商品を確保。
分散と予備費がカギ
すべてのリスクに一度に備えることはできません。複数の資産に分散し、生活費の6か月〜1年分はすぐに引き出せる形で確保しておくことが、安心のベースになります。
生活目線アドバイス
保険は入りすぎても負担になります。「いま必要な保障」と「将来必要な保障」を分けて考えると、保険料も家計もスッキリします。
ここまでで4つのステップを見てきました。最後に、退職計画を始める第一歩を踏み出すためのまとめとサポートツールをご紹介します。
まとめ──今日からできる未来設計
退職後の安心は、突然やってくるものではありません。「いつから始めるか」ではなく「今日から始める」ことが、未来の安心をつくります。
今回ご紹介した4つのステップ
- 始める時期は今日から──年代別のアプローチを意識する
- 必要な資金は生活費×20〜25倍を目安に
- 資金づくりは安全性と成長性のバランスを取る
- 健康・インフレ・相場変動などのリスクに備える
小さくても一歩を踏み出せば、時間と複利の力があなたの味方になります。退職計画は「完璧な計画」を目指すよりも、行動を続けられる仕組みづくりが大切です。
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