
以前から不動産投資に興味がありましたが、対象の物件が高額な物ばかりだったので手を出せないのが実状でした。
お金を貯めてはいたものの、新築物件への投資を始めるには不足していたので困っていました。
そのような時に安価な中古物件を修繕して居住性を改善させるリノベーション投資というシステムを知ったのです。
築年数が長く、そのままでは投資に見合うだけの利益が得られない中古物件を魅力的に修繕するリノベーション投資は少ない支出で大きな利益が得られると聞きました。
私が利用していた投資コンサルタントもこれからの少額投資はリノベーション物件で勝負するのが儲かる秘訣と熱っぽく語っていたので、これなら私にもできるのではと思った次第です。
リノベーション投資で得をした、儲かったなどという成功談をいくつも聞かされた私はすっかり調子に乗り、なけなしの資金を全額つぎ込んでリノベーション投資を始めましたがここでまず失敗しました。
不動産投資を成功させるにはリノベーションを行うのが良いとは思っていましたが、どのようなリノベーションを行うのかはまったく考慮していなかったのです。
投資対象の中古物件は傷みが酷い一戸建て住宅でしたが、具体的なイメージを持たずにとにかく直してほしいとしか言えなかったのが大きな失敗です。
専門業者に直してもらい、一応は居住性を改善させることができたものの外観の古臭さが残ってしまい、室内もおしゃれで機能的とは言い難い仕上がりでした。
リノベーションの方向性を具体的に決めなかったため、ターゲットになる入居者の客層を絞ることができなかったのも失敗したと感じた点です。
特定の年代に好まれる要素を含んでいれば投資を成功させるための道筋を付けることができたかもしれませんが、実際に仕上がったらどこにでもありそうな目立った特徴が無く、華も面白みも無い凡庸な作りだったのです。
デザインや機能性に不満はありましたが、とにかくリノベーションは済んだのでこれから人気が上がるだろうと楽観的な考えでした。
しかし、一年ほどが経過しても入居どころか問い合わせすら来なかったことが判明したのです。
私は住宅の外観や居住性を改善させれば良いと思っていましたが、物件の立地の良し悪しを考えていなかったのです。
不動産投資は物件の価値だけではなく周辺の環境にも気を配るという鉄則を理解していなかったのがさらなる失敗でした。
この失敗が大損を被った決め手でもあり、投資を始めて約三年の間、一回も入居契約が決まらなかったのです。
三年目が経過してようやく失敗したと自覚し、物件を売却したものの大きな赤字を被ってしまいました。
「やってみたい」があるときこそ、大切にしたいのは“整える順番”
不動産投資に限らず、なにかを始めようとする時──
「これなら自分にもできそう」と思えるチャンスが目の前にあると、私たちはつい気持ちが先行してしまいがちです。
今回のように、リノベーションという“手が届きそうな選択肢”を見つけたとき、人は「やってみたい」が「今すぐやらなきゃ」に変わってしまうことがあります。
でも、だからこそ一度立ち止まって考えたいのです。
この投資は、自分の暮らしや目的と、ちゃんと整合性があるだろうか?と。
投資の前に、整えておきたい“3つの軸”
投資を成功させるには「知識」や「行動力」も必要ですが、何より大切なのは、暮らしに合った判断軸を持っておくことです。
- ① この投資の“目的”は何か?
資産を増やしたい?将来の安心?短期的な利益?──目的が曖昧だと、方向性がブレやすくなります。 - ② この物件の“誰にとって価値があるのか”?
投資する側の満足だけでなく、住む人の暮らしやすさ、地域のニーズを考慮できていたかどうか。 - ③ “自分の得意な範囲”で選んでいるか?
デザインや立地、マーケティングなど、自分で判断しきれない部分は、信頼できる専門家と連携する視点も必要です。
投資を「やめたくなる話」ではなく、「ちゃんと選び直す力」を育てる話に
大きな損失を経験したあと、「もう二度と投資なんてしない」と思うのは当然のことです。
けれど、過去の失敗を“封印”するのではなく、
「何を整えたら、私はもっと納得できる判断ができたのか」と問い直すことは、暮らし全体の選び方を変えるきっかけになります。
まねTamaでは、「儲かる/損する」といった表面的な話ではなく、自分の価値観と整合性のある選択ができるようになることを大切にしています。
今はまだ「怖い」と感じていても大丈夫。
次に何かを選ぶときには、焦らず、自分の暮らしにちゃんとフィットした判断ができるようになる。
そんな「安心して学びなおせる場所」として、まねTamaはこれからもあなたを支えていきたいと考えています。