国の借金って、結局だれの話?──ニュースの不安を「わが家の安心」につなげる視点

「国の借金って、結局だれの話?」

テレビやSNSで、

  • 「国の借金が○○兆円を超えました」
  • 「このままでは子どもたちの世代にツケが…」

こんな言葉を目にすると、子育て中の私たちは、なんとなくソワソワしてしまいますよね。「うちの家計もぎりぎりなのに、国までそんな状態なの?」と、不安が二重にふくらんでしまうこともあります。

でも、ここで一度立ち止まって考えてみたいのが、次の一言です。

国の財政を語るなら、まず「国の範囲」を把握しなければならない。

つまり、「そもそも、ここで言っている“国”って、だれのこと?」という問いです。

この出発点をおさえておくだけで、ニュースの受け止め方が少し落ち着きますし、「じゃあ、私たちの家計はどう考えればいい?」という次の一歩も見えやすくなってきます。

「国」と聞いて、思い浮かべるものはみんなバラバラ

「国」と聞いたとき、頭に浮かぶイメージは人によってかなり違います。

  • 国会議員や大臣などの「政治家」
  • 官庁やお役所といった「役所」
  • 「日本に住んでいる私たち国民みんな」
  • 日本という「土地・国土」
  • まだ生まれていない「未来の子どもたち」まで含めて考える人もいる

どれも間違いではありませんが、このイメージがバラバラなまま「国の借金」「国の財政」と言われると、受け取り方もバラバラになります。

  • 「政治家が浪費しているお金」のように感じる
  • 「私たち全員が借金まみれなの?」と不安になる
  • 「うちの子どもが全部払わされるの?」と心配になる

まずは、

財政の話のときの「国」と、日常会話でふんわり使っている「国」は、少しイメージが違う

ここにズレがあるんだな、と知っておくだけでも十分です。

財政ニュースでいう「国」は、ほぼ「政府のお財布」のこと

ニュースで「国の財政」「国の借金」と言うとき、多くの場合は、

「政府(国の真ん中あたり)の、お財布の出入り」

を指しています。

ここでいう「政府」は、ざっくり言うと次のようなお金の集まりです。

  • 国(中央政府)の会計
  • 場合によっては、地方自治体などをふくめた「公的なお金の流れ」

大事なポイントは、

政府のお財布と、私たち一人ひとりの家計は、別のお財布だということです。

たとえば、政府が「国債」という形でお金を借りるとき、その相手は多くの場合

  • 銀行や保険会社
  • 投資信託や年金を通してお金を出している、私たちの預貯金や保険料

だったりします。つまり、

  • 政府にとっては「借金」
  • お金を出している側にとっては「資産(預金や投資の一部)」

という、表と裏の関係になっている場面も多いのです。

ここが、

家計の借金(住宅ローンやカードローンなど)と、「国の借金」が決定的に違うところです。

「子どもの世代にツケが回る」って、本当にそうなの?

よく耳にするフレーズに、「このままだと、子どもたちの世代にツケが回る」という言い方があります。これも、さきほどの「国の範囲」をどう考えるかで、見え方が変わってきます。

もし「国=政府のお財布」だけを見ると、

  • 借金(国債)が増えていく
  • その利息や返済のために、将来の税金や社会保険料が重くなるかもしれない

という心配は、たしかに一つの見方としてあります。

一方で、「国=日本という社会全体」と大きく捉えたときには、

  • 今、国が借金をしてでも整えている「インフラ(道路・橋・防災・教育・医療など)」
  • そのおかげで、未来の子どもたちが受け取る「安全・便利さ・学びの環境」

といった、プラスの資産も同時に残されていきます。

つまり、「ツケ」だけが残るのではなく、

負担(税金など)とセットで、生活を支える「仕組み」も引き継がれていくという側面もある、ということです。

もちろん、だからといって「借金はどれだけ増えても大丈夫」という話ではありません。ただ、

  • ネガティブな言葉だけで不安になるのではなく
  • 「何にお金を使っているのか」「子どもたちに何を残したいのか」

という視点もいっしょに持っておけると、見え方がだいぶ変わってきます。

国の心配と、わが家の心配は「切り分けて」考えてみる

子育て世代にとって大事なのは、ニュースの数字に振り回されることではなく、

「わが家の暮らしと未来」をどう整えていくかです。

そのために、国の財政ニュースを見るときには、次のように切り分けて考えてみるのがおすすめです。

  1. これは「政府のお財布」の話だと意識する
    「国の借金」と聞いたら、「まずは政府のお財布の話なんだな」と一呼吸おく。自分の家計の借金と、同じものとしてイメージしないようにしてみましょう。
  2. 「国全体」では、資産も負債も両方あると知っておく
    道路、学校、病院、子育て支援など、子どもたちが受け取るプラスの仕組みも同時に存在します。負担だけでなく、「受け取っているもの」にも目を向けてみると、少し視野が広がります。
  3. わが家はわが家で、「できること」に集中する
    教育費、老後の備え、住まい、働き方…。私たちの家計には、今から整えておけることがたくさんあります。国の大きな数字よりも、まずは「わが家のお金の流れ」を見える化することが、安心への近道です。

国の財政をゼロから完璧に理解する必要はありません。ただ、

「国の財政の話」と「わが家の家計の話」を、いったん切り分けて考える

この意識を持っておくだけでも、ニュースを見たときの不安の感じ方はだいぶ変わってきます。

「国の話」に疲れたら、いちど「わが家のバランス」を整えてみよう

これからも、ニュースでは「国の借金」「財政負担」「社会保障の危機」といった言葉が、何度も何度も出てくると思います。

そのたびに不安になってしまうのは、とても自然な反応です。でも、そこで終わらせずに、

  • わが家の収入と支出のバランス
  • 教育費・老後資金・住まいなどの将来イメージ
  • 「今できる一歩」を小さく決めてみること

こうした足もとのことに、そっと意識を戻してみるのがおすすめです。

国全体のことを心配する気持ちは、とてもまじめで、やさしい感性から生まれるものです。その感性を、そのまま「わが家の暮らしを整える力」に変えていけるように、一緒に考えていきましょう。

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最終更新:2025-11-16|監修:齊木 正夫(CFP®/宅地建物取引士)

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