
- ペアローン
- 連帯債務
- 収入合算(連帯保証など)
大事なのは、名称よりも「誰がローンの当事者か」。これが、住宅ローン控除の扱いと、家計の安心感に直結します。
まず結論:「控除を受けられる人」は“債務者”です
住宅ローン控除は、基本的にローンの債務者(借りて返す責任がある人)が、自分の税金から控除します。
つまり、夫婦のうち誰が債務者なのかが重要です。
3つの違いを、いちばん分かりやすく整理
| タイプ | ローンの当事者 | 住宅ローン控除 | 注意点(家計・手続き) |
|---|---|---|---|
| ペアローン | 夫・妻が別々にローン契約 | 夫も妻もそれぞれ控除対象になり得る | 手数料・団信などが2本分。育休などで税金が少ない年は「妻側の控除が効きにくい」ことがある |
| 連帯債務 | 1本のローンに、夫婦が一緒に返済責任 | 夫も妻も控除対象になり得るが、負担割合(内部契約)で計算が変わる | 「誰がどれだけ返すか」を曖昧にしない。持分との整合も大切 |
| 収入合算(連帯保証など) | 主債務者は基本1人(もう一人は保証・補助的立場) | 控除を使うのは主債務者が中心 | 相手は借主ではないため、控除の出番は限定的。万一のときの責任関係も要確認 |
ペアローンで特に大事:「控除は合算できない」
ペアローンは、夫婦がそれぞれローンを持つので、控除も夫は夫、妻は妻です。
- 妻の控除枠を、夫の税金から使う(移す)ことはできません
- 妻の税金が少ない年は、妻側の控除は“効きにくい”ことがあります(第3回で詳しく)
連帯債務は「内部の約束」で計算が変わる
連帯債務は、表面上は「二人とも返済責任あり」ですが、控除の計算は内部での負担割合(どちらが何割負担する約束か)によって変わる考え方になります。
まねTamaポイント:
「家の持分」「ローン負担」「実際の返済(口座)」がチグハグだと、後から説明が難しくなることがあります。
迷ったら、契約の段階で“整合が取れているか”を確認しておくと安心です。
“どれが正解?”ではなく、“家計に合うか”で選ぶ
控除の金額だけで決めると、あとでしんどくなることがあります。たとえば、次の観点で見取り図を作るのがおすすめです。
① 収入の波(育休・転職・時短)に耐えられるか
共働きでも、子育て期は収入が波打ちます。税金が少ない年は控除が“使い切れない”ことがあり、ペアローンは特に影響を受けやすいです。
② 万一のとき(病気・休職・もしもの別居)の整理ができるか
この話は重く感じるかもしれませんが、家計の安心を作るには大切です。責任と権利(持分)を曖昧にしない設計が、長い目ではラクになります。
③ 手続きの負荷を許容できるか
ペアローンは、ローンが2本分。書類も手続きも増えやすいです。忙しい子育て期は、“分かりやすさ”も価値になります。
次回予告(第3回)
「妻が出産・育休で給付だけの年、妻の住宅ローン控除はどうなる?」
ここを、制度のしくみからやさしく整理して、“やることリスト”まで落とし込みます。
※制度は改正されることがあります。申請前には、国税庁や自治体サイトの最新情報もあわせて確認してください。

