学資保険・こども医療保険を見直す5つの視点
「子どものために、ちゃんと備えておきたくて──」
そんな思いから、学資保険やこども医療保険に加入したというご家庭は少なくありません。
「もしものときに困らないように」「しっかりしてる親でいたい」という気持ちは、ごく自然でまっとうなものです。
でも、ふと立ち止まってみると、こんな声が聞こえてきます。
「この保険、本当に必要だったのかな?」「他にもっと良い方法があったんじゃないか?」
保険選びは、“正解”が見えづらいテーマです。
とくに「子どものため」となると、冷静に比べることが難しくなってしまうことも。
この記事では、そんなモヤモヤに寄り添いながら、感情・制度・お金の現実を一緒に見直していきます。
備えたい気持ちを否定するのではなく、本当に意味のある選択肢を、自分の手で見つけていくために──。
そんな視点で読み進めていただけたら嬉しいです。
「子どものために必要だと思って…」という親心
「保険に入らないと、ちゃんとした親じゃない気がして…」
「もし病気になったらどうするの?って言われて、不安になって…」
子どものために保険を選ぶとき、そこには必ずと言っていいほど、“守ってあげたい”という親心があります。
でもその裏側には、周囲からの言葉に揺れる気持ちや、漠然とした不安が隠れていることもあります。
たとえば、妊娠中や出産後に配られるチラシの中には、「学資保険」「こども医療保険」「こども共済」など、さまざまな保険のパンフレットが含まれています。
「加入しておいた方が安心ですよ」と言われれば、「そうかもしれない…」とそのまま申し込んでしまうこともあります。
もちろん、備えること自体が悪いわけではありません。
ただ、「子どものため」という言葉が強くなりすぎると、“判断の軸”が自分以外のところに移ってしまうことがあります。
本当に必要な備えとは何かを考えるとき、まず大切なのは、自分自身の感覚に戻ること。
「入った方がいいかな?」ではなく、「うちにとって、どんな備えが必要か?」という問いに変えていくことが、納得のいく選択につながっていきます。
次の章では、そんな判断を助けてくれる「公的制度」の現実について見ていきます。
こども医療費の“現実”と公的制度──地域差と見えにくい部分
実は、多くの自治体では、子どもの医療費はかなり手厚く助成されています。
通院・入院ともに中学生まで無料という地域もあれば、高校卒業まで助成が続く自治体もあります。
一部の地域では、所得制限や自己負担ありという条件があるものの、全国的にはかなり負担が少ないのが現状です。
たとえば、東京都内の多くの自治体では、15歳(中学卒業)まで通院・入院ともに無料。
さらに、地域によっては「高校生まで無料」または「自己負担月500円まで」など、制度は年々拡充されています。
しかしながら、こうした制度の実態を保険の提案を受けるときに十分に説明されないケースが少なくありません。
「医療費がかかったとき、どうするの?」という不安をあおられ、実際には使われない保険に加入してしまうこともあるのです。
また、医療費がかからない=医療保険はいらないとまでは言い切れないものの、すでに保障されている部分をきちんと把握することはとても重要です。
保険に入る前に、まずは以下のような点を確認しておきましょう:
- お住まいの自治体で、こども医療費助成の対象年齢と自己負担はどうなっているか?
- 所得制限の有無や、申請手続きの方法
- 通院と入院、それぞれの助成範囲
「わが家の場合、どれだけ備えておけば安心か?」を考えるうえで、
まずは制度という“すでにある土台”に目を向けておくことが、余計な不安から自分を守る第一歩になります。
次の章では、もうひとつの代表的な「子ども保険」である学資保険について考えてみましょう。
学資保険ってほんとうに“貯金の代わり”になるの?
「子どもの教育費をしっかり準備したい」
そう思ったときに、真っ先に名前があがるのが“学資保険”かもしれません。
保険会社からの提案や、周囲のすすめで加入したという方も多いでしょう。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいのが、学資保険が本当に“貯金の代わり”になるのかどうかということ。
実際のところ、学資保険は「保障機能つきの積立商品」であり、貯蓄性と保障性の両立を目指したものです。
ただし、その分、元本割れのリスクや、中途解約のデメリットも含んでいます。
たとえば──
- 返戻率は上昇傾向だが、インフレや金利上昇には対応しづらい
- 途中で解約すると、元本割れを起こすことが多い
- 万一の保障がついているが、その分、自由に使えるお金ではない
一方で、つみたてNISAやジュニアNISA(終了済)など、教育費の準備に活用できる制度も増えてきています。
また、家計にゆとりがある時期に、定期預金や流動性の高い積立口座に貯めていくという選択も十分に現実的です。
重要なのは、どの方法が「わが家に合っているか」という視点。
たとえば、こんなふうに整理してみるのもおすすめです:
- 毎月確実に積立したい → 学資保険や定期預金
- 運用のリスクをとってでも増やしたい → つみたてNISA
- 流動性を重視したい → 普通預金+自動積立
「学資保険がいい・悪い」ではなく、「何のために?」「どこまで備える?」という目的を明確にすることが、最も大切なことです。
次の章では、こうした“備える気持ち”そのものと、どう向き合っていくかを考えてみましょう。
“備えたい気持ち”を否定せずに、選択肢をひろげる
「子どものために、できる限りのことをしてあげたい」──
そんな親としての気持ちは、とても自然で、大切なものです。
だからこそ、学資保険や医療保険、養育費の積立などに目が向くのは、ごく当たり前の流れです。
でも、ここで一つ覚えておきたいのは、「備える方法はひとつじゃない」ということ。
特定の保険に入っていないからといって、愛情が足りないわけではありませんし、他の方法を選んだからといって間違いでもありません。
たとえば──
- 教育費は定期預金+児童手当の積立で備える
- 医療は地域の子ども医療費助成制度を活用
- 万一のときのために、パートナーと生活設計を話し合う
こうした備えも、立派な「愛情のかたち」です。
保険に入るかどうかを決める前に、自分がどこに不安を感じていて、何に備えたいのかを、丁寧に見つめ直してみると、選択の軸が見えてきます。
また、保険の相談=契約をすすめられる場と思われがちですが、中立的に比較検討できる場を選ぶこともポイントです。
近年では、保険の提案よりも、「家計全体から見て、何が必要か?」を一緒に考えてくれる相談サービスも増えてきています。
大切なのは、「保険に入るかどうか」ではなく、自分たちが納得して備えられる方法を見つけること。
そして、その選択に自信が持てるようになることです。
次章では、“愛情のかたち”としての備えを、もう一度やさしく見直してみましょう。
愛情のかたちはひとつじゃない──“いま”を大切にできる備え方へ
保険のことを考えるとき、私たちはどうしても「正解」を探してしまいがちです。
「これに入っておけば安心」「これはみんながやってるから大丈夫」──そんな言葉に、すがりたくなることもあるでしょう。
でも、本当に大切なのは、自分たちの暮らしにフィットした備え方を選ぶこと。
それは、数字の多さや保障の厚さではなく、日々の安心感や、納得感につながるものかどうかです。
「子どものために」「家族のために」と願う気持ちには、いろんな表現のしかたがあります。
保険に入るという手段だけでなく、生活習慣の見直しや、夫婦間の対話、地域とのつながりもまた、大きな「備え」になります。
そして何より、今この瞬間をどう過ごすかが、未来の安心にもつながっていきます。
過剰な不安や義務感に追われるのではなく、「わたしたちは、今できることをしている」という実感を持てることこそが、本当の意味での“備え”なのかもしれません。
そんな視点を深めたい方のために、「まねTama」ではやさしく学べる無料のプログラムをご用意しています。
「保険って、そもそもどう考えたらいいの?」「他の家庭はどうしてるの?」──そんなモヤモヤを、やわらかくほどく5日間。
ぜひ、下のボタンからご参加ください。