介護費の見える化:月いくら?予備費いくら?

在宅介護でも施設介護でも、最初に不安になるのは「毎月いくらかかるの?」という問い。答えは家庭ごとに違いますが、見える化の“型”は共通です。本記事では、家計の4数字(A/B/C/D)を介護版に拡張し、月次の土台費用+変動費+イレギュラー費(特別費)の三層で整理します。さらに、予備費の目安(3〜6ヶ月)と、口座分け・自動振替・四半期レビューの回し方をテンプレで提示。完璧な見積もりより、今週15分で置ける“たたき台”を一緒に作りましょう。

全体像:三層モデルで“迷いの霧”を晴らす

  • 層1:月次の土台費用(毎月ほぼ固定)… 介護保険サービスの自己負担、福祉用具レンタル、紙おむつ定額、見守りサービスなど
  • 層2:月次の変動費(月ごとにブレる)… 食材・衛生消耗品・通院交通・送迎燃料・洗濯/光熱の増分
  • 層3:イレギュラー(特別費)… 住宅改修、家電/ベッド、急な入院・ショートステイの追加、冠婚葬祭、長距離移動 など

まずは層1と層2を“月額レンジ”で、層3は“年間見込み”で置きます。細かい分類は後回しでOK。

介護版A/B/C/D:手取りから“介護関連”を切り出す

定義(家計全体→介護分の切り出し)

  • A:手取り(世帯の当月手取り)
  • B:家計固定費(住居・通信・保険・教育・サブスク等)
  • C:家計の必需変動費(食費・日用品・交通など)
  • D:余白=A−(B+C)

ここに介護関連の3層(層1/層2/層3)を重ね、「家計の余白D」からどれだけを配分するか、または別口座から捻出するかを決めます。

層1:月次の土台費用(“固定っぽいもの”)

例(在宅・要介護の一例イメージ)

  • 介護保険サービス自己負担(訪問/通所/福祉用具レンタルの合計):__円
  • 紙おむつ・パッド定額:__円(定期便にして月変動を抑える)
  • 見守り・駆けつけサービス:__円(家族の安心コスト)
  • 配食サービス:__円(頻度×単価で算出)

実装のコツ

  • サービスは“月内で平均化”して1本の数字に(週回数×単価×4.3週)。
  • 紙おむつは定数制+定期便で“足りない不安”とブレを減らす。

層2:月次の変動費(“ブレるもの”)

よくある項目

  • 食材・水分(増分)、衛生消耗品、洗濯・入浴に伴う光熱増分
  • 通院交通(タクシー/ガソリン/駐車場)、付き添いの外食・軽食
  • 消耗的福祉用具(手袋・消毒・清拭クロスなど)

ブレの抑え方

  • 週予算ボックス(食・衛生・移動の3箱)を導入。週上限を決め、翌週に持ち越さない。
  • 買い足しは閾値(◯個を切ったら買う)で判断。予備買いをしない。

層3:イレギュラー(特別費)を“年額で置く”

代表例

  • 住宅改修(手すり・段差解消・浴室改修)/介護ベッド・マットレス
  • 急な入院・ショートステイ追加/長距離の付き添い移動
  • 家電の更新(洗濯機・乾燥機・エアコン)

年額見込みを12で割り、毎月積み立て。一気に払わず、時間で平準化します。

口座設計:目的別に分けて“混ざり”をなくす

おすすめの分け方

  • 生活口座:家計B/Cの支払い(今まで通り)
  • 介護口座:層1・層2の出入りを集約(デビット/クレカもここに紐付け)
  • 特別費口座:層3の積立専用(引き出しは“事前合意”が条件)

給料日翌日に自動振替:生活→介護へ月額固定、生活→特別費へ月額積立。“余ったら”ではなく先に動かすのがコツ。

予備費の目安:3〜6ヶ月分を段階的に

予備費は「層1+層2の合計」の3〜6ヶ月分が一般的な目安。いきなり満額は不要。まず1ヶ月分を介護口座に置き、次に3ヶ月→6ヶ月へと段階的に。到達後は、特別費の積立比率を少し上げます。

テンプレ:介護費ダッシュボード(コピペ用)

月次カード

  • 層1(固定っぽい):__円
  • 層2(ブレる):__円(週予算:食__/衛生__/移動__)
  • 月合計(層1+層2):__円

年次カード

  • 層3(特別費):年__円(=月積立__円)
  • 予備費目標:月合計×3〜6ヶ月=__円(現在__円/達成率__%)

四半期レビュー:残す3つ/手放す3つ

見直しポイント

  • サービスの利用実績と満足度(頻度×満足×再現性)
  • 紙おむつなどの定数と消費ペース(閾値の再設定)
  • 特別費の見込みと積立額(家電更新・住宅改修の前倒し/後倒し)

家族合意の作り方:数字<手応えの共有

  • 月次カードの写真を家族チャットへ(コメントは「良かった1つ/困った1つ」)
  • 支払いは1人で決めない(1万円超は事前合意、などのルール化)
  • “夜の決断禁止”で反動買い・過剰加入を防ぐ

今日の5分でできること

  • 層1/層2/層3のリストをスマホメモに作る(空欄でOK)
  • 介護口座・特別費口座を“名前だけ”で良いのでメモに設計
  • 給料日翌日の自動振替メモ(生活→介護/生活→特別費)を作る

まとめ:数字は“安心の器”になる

介護費の見える化は、心配を増やす作業ではありません。三層モデルと口座分けで“混ざり”をなくし、予備費を段階的に育てれば、突発にも静かに備えられます。明日は「月次カード」を1行だけ埋めてみましょう。そこが出発点です。

よくある質問(FAQ)

Q. まず何から書き出せば良い?

層1(固定っぽい)から。通所・訪問の回数×単価を月平均で1本化すると全体像が掴みやすくなります。

Q. 予備費はどこに置く?

生活口座と分けた特別費口座へ。引き出しは「家族合意」を前提にして守ります。

Q. 月ごとのブレが大きくて挫けます

層2は“週予算ボックス”で平準化。レシート精度よりも週上限の維持を優先。


数字を“安心の器”に。三層モデルで今日から整えましょう。


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