空室対策の基本──家賃・募集・内装の3つを整える
空室が続くと、家賃収入が減るだけでなく、管理費や固定資産税などの負担が家計にのしかかります。
でも、空室対策は「特別な裏ワザ」より、基本の3つを丁寧に整えるのが近道です。
それが家賃設定・募集戦略・内装改善の3本柱。
この記事では、初心者でもすぐに取り入れられる実践方法を、生活目線でやさしく解説します。
「なんとなく待つ」から一歩進んで、入居者に選ばれる準備を一緒に整えていきましょう。
- 相場に沿った家賃設定で、内見数を増やす
- ターゲットに届く募集戦略で、魅力を伝える
- 内装改善で、第一印象を引き上げる
小さな改善の積み重ねが、空室の長期化を防ぐ最大のポイントです。
第1章:家賃設定の見直し──「相場±5%」を軸に、反応で微調整
空室が長引く最大要因のひとつは家賃設定のズレです。高すぎれば内見が来ず、低すぎれば利益を逃します。
まずは周辺相場の“いま”を確認し、相場±5%の範囲でスタート、反応(問い合わせ・内見・申込)を見て素早く調整するのが基本です。
1)相場の集め方(15分でOK)
- ポータル横断で3サイト以上:SUUMO/HOME’S/アットホームなどで、駅名+「築年±5年」「広さ±10%」「間取り一致」で絞り込み。
- 募集価格だけでなく実質負担:管理費・共益費・礼金・更新料を含む月額で比較。
- “成約済み”の肌感:同条件でよく消える価格帯=ニーズが強いレンジ。
2)目安の置き方
- 初期設定:相場の+3〜5%で出して反応を見る(写真・説明文の質を高めた前提)。
- 1週間で反応薄:まずは条件の改善(フリーレント1か月/礼金0/ネット無料等)。
- 2週間で内見ゼロ:家賃を−2〜3%調整。それでも反応がなければ合計−5%までを目安に。
3)生活目線の事例:1,000円の差が“内見の数”を変えた
駅徒歩12分・築20年・1Kの区分。周辺相場は6.4〜6.6万円。
6.7万円で出したところ問い合わせゼロ。写真を撮り直し(昼間の明るい室内、収納の奥行きが伝わる角度)、
さらにネット無料を追加して6.6万円に調整。1週間で内見3件、2週目に申込。
「1,000円下げた効果」よりも、「付加価値と情報の伝わり方」の改善が効いたケースです。
4)ターゲット別の“勝てる条件”
- 単身者向け:ネット無料/宅配ボックス/2口コンロ/照明・カーテン設置で即入居OK。
- ファミリー向け:追い焚き/浴室乾燥/収納力(可動棚)/駐輪場2台。
- 学生向け:学校までの交通費・時間を明記/合格発表〜入学までのフリーレント提案。
- テレワーク層:高速Wi-Fi速度の実測値/ワークデスク設置可/防音性の説明。
5)“家賃だけ”を下げる前に:実質賃料で勝つ
- フリーレント:家賃1,000円下げるより、最初の1か月を無料にする方が内見が増えやすい繁忙期あり。
- 初期費用圧縮:礼金0・保証会社手数料明示・鍵交換費の実費化。
- 更新時の工夫:更新料1か月→0.5か月へ。長期入居につながり退去コストを削減。
6)ミニワーク(5分)──いまの募集条件を点検
- ポータル3サイトで「駅・築年・間取り・面積」を合わせ、上位10件の実質月額をメモ。
- 自物件の強み1つ・弱み1つを書き出す(例:南向き◎/駅距離×)。
- 弱みを補う条件強化1つ(フリーレント/初期費用圧縮/設備1点追加)を決める。
- 1週間の反応(問い合わせ・内見数)を記録し、反応が無ければ即調整。
相場の微差と付加価値の組み合わせを週次で検証→微調整することで、内見率が上がります。
第2章:募集戦略の工夫──「誰に」「どう届くか」を設計する
家賃設定が整ったら、次は入居者募集の“見せ方”を磨きます。
同じ物件でも、写真や文章、掲載場所が違うだけで、反応は大きく変わります。
ポイントは「誰に向けて」「何を伝えるか」を明確にすることです。
1)ターゲットを決める
- 単身者:通勤・通学の利便性、家具家電付き、ネット無料など
- ファミリー:学校や公園の近さ、収納、駐車場の有無
- 高齢者:バリアフリー、医療機関の近さ、エレベーター有無
- テレワーク層:通信速度、防音性、ワークスペースの確保
2)写真と文章の質を上げる
- 写真は昼間に撮影(自然光で明るく)
- 部屋の広さが伝わる角度で撮る(壁際から対角線方向)
- 生活シーンが想像できる説明文(例:「朝日が入るキッチンで、家族の朝食時間が明るくなる」)
- 近隣の施設・利便性も写真や文章で補足
3)掲載先とタイミングを工夫
- 複数のポータルサイトに同時掲載(SUUMO、HOME’S、アットホームなど)
- SNSや地域掲示板(ジモティー、Facebookグループ)も活用
- 繁忙期(1〜3月、9月)前に募集開始し、物件を目立たせる
生活目線の事例
駅徒歩8分・築25年の1DK。
写真をプロに依頼し、夜間の温かみあるライトアップ写真も追加。
説明文では「徒歩5分のスーパー」「休日に歩ける公園」を具体的に紹介。
結果、掲載から10日で内見5件、2週間で成約に至りました。
また、説明文は「間取りの説明」だけでなく「暮らしのストーリー」を加えると、内見につながりやすくなります。
第3章:内装改善で第一印象をアップ──“ここに住みたい”を引き出す工夫
内見の瞬間、入居希望者は数秒で「住みたいかどうか」を判断します。
そのカギを握るのが内装の第一印象です。大規模リフォームをしなくても、低コストで効果を出す方法があります。
1)清潔感は最優先
- 水回りの徹底清掃:キッチン・浴室・トイレは輝きが大事
- カビ・水垢・排水口の臭いは即改善
- 壁・天井のヤニ汚れや手垢はクリーニングで白さを復活
2)低コストで印象を変えるアイデア
- アクセントクロスを一面だけ貼る
- 古い照明をLEDライトに交換(明るさ・電気代節約)
- カーテンレールやスイッチカバーを新品に
- 玄関マットや傘立てなどの小物で雰囲気アップ
3)ターゲット別の改善ポイント
- 単身者:コンパクトな収納棚や壁掛けフックを追加
- ファミリー:可動式収納や広めのカウンターキッチン
- 高齢者:段差解消や手すりの設置
- テレワーク層:デスクが置けるスペースの確保、コンセント増設
生活目線の事例
築30年の2DK。畳の和室をフローリング化し、照明をダウンライトに変更。
内見時の印象が大きく変わり、以前は3か月空室だったのが、改善後は1か月で成約。
リフォーム費用は20万円弱でしたが、家賃も2,000円アップできました。
内見者が最初に目にする場所から変えることで、「第一印象のハードル」が下がります。
まとめ:空室対策は“小さな改善”の積み重ねから
空室を埋めるために大規模な投資や特別なテクニックが必要なわけではありません。
家賃設定、募集戦略、内装改善──この3つを地道に見直すことで、確実に成果は出ます。
ポイントは「一度やって終わり」ではなく、定期的な点検と改善を続けること。
市場の動きや季節の変化、入居者のニーズに合わせて柔軟に調整すれば、空室期間は短くできます。
今日できる小さな一歩──相場の確認、写真の撮り直し、照明の交換などから始めてみましょう。
少しの工夫が、次の入居者との出会いを近づけます。
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