
こんにちは、FP齊木です。
最近、電気料金がじわじわ上がっていると感じていませんか?
その背景にある“見えない負担”のひとつが「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」です。
一見すると環境にやさしい取り組みに思えますが、実はこの賦課金、私たちの家計に知らぬ間に負担を強いている制度なのです。
本記事では、再エネ賦課金の仕組みと実質的な家計への影響、今後の制度の動きについて解説します。
再エネ賦課金とは?──知らずに払っている“義務的コスト”
再エネ賦課金は、電気料金の明細の中にひっそりと含まれている項目です。これは、再生可能エネルギー(太陽光・風力など)で発電された電気を、高値で買い取るための費用として、全国の電力使用者が負担しています。
▶ 固定価格買取制度(FIT)とは?
この制度のベースになっているのが「FIT(Feed-in Tariff)」と呼ばれる仕組み。
国が再エネ事業者に対して、一定期間、高値での買取を保証しており、そのコストが私たちの電気料金に転嫁されているのです。
家計への具体的な影響
例として、平均的な4人家族の家庭(1か月の使用量:300kWh)で試算してみましょう。
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賦課金単価(2024年度):3.49円/kWh
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月額負担:300kWh × 3.49円 = 約1,047円
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年間では:約12,564円の追加負担
もはや「誤差」とは言えない金額です。しかもこれは、電気を使えば必ずかかる“強制的な支払い”です。
家庭別・年間負担額
月間使用量 | 年間再エネ賦課金(概算) |
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200kWh | 約8,376円 |
300kWh | 約12,564円 |
400kWh | 約16,752円 |
600kWh | 約25,128円 |
「ステルス増税」と呼ばれる理由
✅ 1. 請求の内訳で気づきにくい
税金ではないため、意識されづらい形で家計に食い込んできます。
✅ 2. 年々増え続けている
特に太陽光バブル期(2012〜2015年)に契約された**高額買取(最大40円/kWh)**が今も有効です。
✅ 3. 環境目的があいまいに?
現在では、再エネ促進よりも“過去の契約の維持”が主な使い道となり、制度本来の目的がぼやけています。
今後の制度改正はあるのか?
政府は段階的に「FIP(市場連動型補助)」への移行を進めています。
これは電力の市場価格に応じて補助金を支給する方式で、FITよりもコスト抑制効果が期待されます。
ただし、FIPでも差額の補填は必要であり、短期的には家計負担が減る見込みはあまりありません。
▷ 将来的には「ゼロ」も?
政府は“将来的に賦課金をゼロへ”という方針を示していますが、実際のロードマップは示されておらず、2030年代まではある程度の負担継続が予想されています。
家計防衛策としてできること
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✅ 時間帯別料金や新電力への切り替えで電気代を調整
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✅ 使用量の見える化(スマートメーターなど)で意識改革
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✅ 省エネ家電の導入で長期的な削減を目指す
まとめ:知らないうちに払っている負担だからこそ、意識を
再エネの普及は社会的に意義のある取り組みです。
しかし、それを支える費用が「誰に、どれだけの負担を強いているのか」が見えづらい現状は、決して健全とは言えません。
知らないうちに増えている負担にこそ目を向け、必要に応じて制度への関心や見直しの声を上げることが、私たち生活者にできる最初の一歩です。
編集後記
もしご自身の電気料金明細をお持ちであれば、一度「再エネ賦課金」の欄を探してみてください。
数字の裏には、制度設計の歪みと、未来のエネルギー政策のヒントが隠れているかもしれません。