まねたま
こんにちは、キャッシュフロー・クリエイターのまねタマです。今回は不動産の証券化やREITの仕組みについて取り上げてみました。

不動産を証券化するとどのような効果があるのでしょうか?

その効果を知るためには、まずその仕組を知る必要があります。

  1. 証券を発行する
  2. 調達した資金で不動産を購入する
  3. その不動産による収益で投資家に配当・利払い等を行う。

上記の仕組みを不動産の証券化手法と呼んでいます。

そして、不動産を証券化するためには以下の2つが必要です。

  1. 証券の発行体
  2. 不動産の保有主体となる「器」

器とは、一般に「Vehicle」や「Entity」と呼ばれているものです。

また、SPV(Special Purpose Vehicle)またはSPE(Special Purpose Entity )とも呼ばれています。

不動産投資のためだけに用いられる特別な事業体なのでそう呼ばれているわけです。

混乱するといけないので、ここではSPVということで話を進めます。

SPVの役割

  1. 証券の発行体。
  2. 物件を所有する。
  3. その収益を投資家に配当・利払い等を行う。

という役目を担っています。

具体的には、、、

オリジネーター(原資産保有者)が証券化の対象となる不動産をSPVが買い取ります。

その後、

  1. 対象不動産を原資産保有者から独立させる。
  2. 投資家から資金を集め、原資産保有者に支払う。
  3. 投資家に証券を発行し、利息や配当を支払う。

という手順で行われ、SPVは器としての役割を果たしています。

オリジネーター(原資産保有者)とは、不動産のもともとの所有者のことです。

SPVを設立できる条件

設立・運営が簡易であること

証券発行に際し多額の費用を要するようでは、投資採算が悪化しますし、必要以上に時間をかけていたのでは、投資タイミングを逃してしまうでしょう。

ですから、設立・運営が簡易であることが必要です。

業務を制限し特定すること

新規事業を始める機会が多いと、その分リスクも大きくなります。

固定費が増加し、十分な収益が還元できなくなる可能性が高くなるからです。

そうしたことを避けるために、事業の範囲を限定し、実際の業務はアウトソーシングするという仕組みになっています。

ですから、借入も不動産を購入するためのものだけに限定されます。

倒産を避ける仕組みを持っていること

対象不動産をオリジネーター(原資産保有者)から切り離し、SPVに譲渡するのはリスクを軽減するためです。

このことは不動産の証券化はもちろんのこと、ノンリコースローンを調達する際にも必要なことです。

具体的には、、、、、

  1. 金融取引ではなく、かつ法的・会計的に有効な売買であること。
  2. 権利がオリジネーターからSPVに完全に移転していること。
  3. オリジネーターの支配力(資本的・人的)が及ばないこと。

などをクリアーしていることが条件になります。

ミカ
ノンリコースローンってなんですか?
まねたま
ノンリコースローンとは、返済原資を家賃収入あるいは不動産収入に限定している融資の仕組みで、原則として融資対象の物件以外に債務が生じても、その分は返済する必要がないのが大きな特徴です。最近では扱うところが限定されます。

二重課税を回避する機能がある

  1. SPVが課税の対象にならない。
  2. 支払った利益の分配などが実質的には課税されない。

上記のように二重課税されない仕組みを導管機能といい、導管機能を備えた「器」を導管体と呼んでいます。

1番は、パススルー課税と呼ばれているもので、発生した利益に対し、直接は課税されず、その利益の配分を受けた出資者、構成員等に課税される制度です。

2番は、ペイスルー課税と呼ばれているもので、法人税法上は、特定目的会社(SPC)や投資法人等の法人の利益を課税対象としますが、出資者(投資家)に支払う利益の配当の損金算入が認められます。

ですから、実質的には出資者個人のレベルで所得課税が行われる形になります。

有限責任性を確保しておくこと

不動産証券化商品に投資した出資額を投資家が負うリスクの限度にしておく必要があります。

SPVの種類

SPVの種類には以下の3つのスタイルがあります。

  1. 会社
  2. 信託
  3. 組合

上記のうちでSPC(Special Purpose Company:会社形態)が一番多く利用されています。

なおSPCには、下記の形態が含まれます。

  • 会社法及び外国の法令に基づいて設立された会社
  • 資産流動化法に基づいて設立されたTMK
  • 投資信託法に基いて設立された投資法人(REIT)

証券化にはどのような効果があるの?

まず言えることは、オフバランス効果があるということです。

オフバランスとは、バランスシート(貸借対照表)には現れない部分です。

有利子負債を圧縮できる

オリジネーターが所有する不動産を処分し、その金額に見合う有利子負債を圧縮する。

このことができると、どのようなことが起こるでしょうか?

  • 資金繰りが容易になり、自己資本比率が向上する。
  • 不動産リスクが減少する。
  • 本業に専念することで、リスクマネジメントしやすくなる。

上記のような効果が得られます。

ROA(総資産利益率)の向上する

※ROA=利益/総資産=利益/売上高×売上高/総資産

利益/売上高(売上高利益率)は、収益性を表します。

また、売上高/総資産(総資産回転率)は、効率性を表します。

ですから、ROAは企業を評価する上で重要な指標です。

総資産が小さくなると、ROAが上昇して企業価値が上がります。

減損会計への対応ができる

減損会計により地価下落や収益の低下があった場合、不動産の簿価が下がってしまうことがあります。

財務リスクを抱えた不動産を切り離すことによって、リスクマネジメントがしやすくなります。

ミカ
減損会計ってなんですか?
まねたま
減損会計とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きのことです。

リスクやリターンに対して柔軟に対応できるようになる

現物不動産の売買は、すべての収益を得られるというメリットがあります。

その一方で、多額の資金を調達する必要があります。

その上、、、、、

  • 価格変動リスク
  • 空室リスク
  • 金融リスク
  • テナントとのトラブル
  • 災害等による物件の毀損リスク

などを直接追わなければならないというデメリットがあります。

証券化した場合は、リスクやリターンをいくつかに分散することができます。

具体的には、、、

デット型証券の場合

優先的に利払いや償還が行われるので、比較的リスク・リターンは低くなります。

当然、利回りも低くなります。

デッド型証券とは、住宅ローンのように利息と償還金が確定している債権を証券化したものです。

抵当証券などもこれに含まれます。

ミカ
抵当証券とはどのようなものですか?
まねたま
抵当証券 とは、証券会社が土地・建物などを抵当とした貸し付け債権を、登記所で有価証券に換え、その証券を抵当証券として投資家に販売しているものです。

エクイティ型証券の場合

高い収益が期待できるが、支払いはデット型証券等よりも劣るので、リスク・リターンは高くな傾向が強いです。

多くを金融商品化することが可能になるので、多様なニーズに応えることができるようになります。

ですから、現物不動産を売買するよりも資金を調達しやすくなります。

エクイティ型証券とは、不動産の所有権を小口化するなどして、優先株や優先出資証券を発行する仕組みです。

資産流動型か?資産運用型か?

不動産の証券化には以下の2つのタイプがあります。

  1. 資産流動化型
  2. 資産運用型

資産流動化型

証券化の対象不動産が決まった上で証券が発行される形です。

オフバランスを主な目的として利用されることが多いです。

この代表的なものに特定目的会社(TMK)があります。

TMKは「資産の流動化に関する法律」に規定されています。

資産運用型

予め投資家から集めた資金をファンドにプールしておきます。

その後に投資対象となる物件を収集・選択して投資・運用する形です。

この代表的なものにREITがあります。

REITは「投資信託及び投資法人に関する法律」に規定される投資法人です。

REITについては「不動産は資産形成に欠かせないカテゴリー、特徴をつかんで投資成功率を上昇させよう!」の中でも取り上げていますので、参考にしてください。

不動産の証券化に関わる人とその役割

不動産の証券化にあたっては、不動産・証券・金融等の関係者が協力して進めていく必要があります。

具体的には、、

オリジネーター(不動産の元々の所有者)の他に、

  • アレンジャー
  • アセットマネージャー
  • プロパティーマネージャー
  • レンダー
  • 証券会社
  • 信託銀行

などのメンバーでチームを編成して、ストラクチャー(仕組み)を検討していく必要があります。

アレンジャー

証券化を行うためのストラクチャー(構造、仕組み)を検討し、メンバーの選定、専門家へのアウトソーシング、証券化に必要な事項全般のフォローやアドバイスなどを行う専門家のことです。

アセットマネージャー

ファンドの運用方針に沿った投資物件の選定、投資効率の選定、プロパティーマネージャーに対する監督・指示等の業務を通じて、投資価値の最大化を図る専門家のことです。

プロパティーマネージャー

投資物件のテナント営業、管理、建物そのものの維持管理などの業務を通して、投資物件の収益の向上、及び費用の低減を図る専門家のことです。

レンダー

証券化対象不動産を取得するために必要な資金を融資する金融機関のことです。

信託銀行

オリジネーターから証券化対象不動産の信託を受け、受託者となって所有名義人になり、管理・運営を行うことで投資家やレンダーへの信用補完を行います。

証券化と信託制度について

現物不動産よりも信託受益権として証券化不動産を取得するケースがほとんどです。

なぜ、現物不動産ではなく、証券化不動産を選択するのでしょうか?

  • 税制のメリット
  • 信託による運用の透明性
  • 独立性の確保
  • 宅地建物取引業法による規制が適用されない

などのメリットがあるからです。

信託とは、他人に財産の管理や処分をさせるために、その権利を移転することをいいます。

信託法では、、

  1. 財産を信託する者を委託者
  2. 管理・処分を実行する者を受託者
  3. 信託の利益を享受するものを受益者

と呼んでいます。

そして、、

  • 受益者が信託行為に基づいて信託利益の給付を受ける権利
  • その権利を確保するために受託者に請求する権利

上記を受益権といいます。

この受益権には、

  • 給付請求権
  • 信託財産に対する物的権利

などがあります。

ですから、信託財産に対する権利の変動が、そのまま受益権の内容に反映されることになるわけです。

つまり、実質的な信託財産の所有者は、受益者という解釈になります。

したがって、信託受益権を登記して第三者に対抗することができます。

ただし、受益権を譲渡する場合は、債務者である受託者への通知、または承諾が必要になります。

これは、信託受益権そのものが、受託者に対する債権という性質のためです。

登記後に受益者には受託者から受益権証書が交付される形になります。

※受益権証書は、有価証券またはみなし有価証券として扱われる。

信託の税制について

通常の不動産信託は受益者段階課税になっています。

  1. 課税対処となるべき受益者の範囲を受益者としての権利を現に有するものとする。
  2. 上記の受益者はその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、その信託財産に帰せられる収益及び費用はその受益者の収益及び費用とみなす。

つまり、信託行為や受託者に対しては課税しないということです。

受益者が信託財産を所有しているものとみなして所得税、法人税等が課税される形になります。

信託と流通税

不動産を取得した場合には、登録免許税や不動産取得税といった流通税が課されます。

しかし、信託受益権で取得した場合は、以下のような取扱になります。

登録免許税

信託による財産権の移転登記は非課税です。

信託の登記する場合の税率は0.4%になります。

(※平成24年4月1日~平成31年3月31日までは0.3%)

また、信託受益権を売買した場合には、受益者変更登記を行う必要があります。

この場合の費用は1件あたり1,000円です。

不動産取得税

信託によって委託者から受託者に信託財産を移した場合は非課税です。

そもそも信託受益権は不動産ではないので、売買を何度繰り返したところで非課税扱いになります。

では、信託の解約や期間終了などにともなって、現物不動に戻した場合はどうなるでしょうか?

最初に信託した時の委託者のみが継続して信託財産の元本の受託者である場合は、不動産取得税はかかりません。

それ以外の場合は不動産取得税が課されます。

いずれにせよ、現物取得よりも大幅に税負担が軽減されることになります。

それではまた。

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