
なぜ今「マイクロ法人」が注目されているのか?節税・社会保険対策のリアルを徹底解説【2025年版】
公開日:2025年5月8日
フリーランス・個人事業主の“見えないコスト”とは?
あなたがフリーランスや個人事業主として働いているなら、年収が上がるほどに感じる「税と社会保険料の重さ」。
特に年収700〜1,000万円ゾーンの人々は、実際の手取り額に対する不満を抱えがちです。
その原因のひとつが、累進課税+定率保険料という“二重取り”の構造。しかも国民健康保険や国民年金は、法人勤務の厚生年金に比べてリターン(受取額)が低めです。
そこで近年注目されているのが、「マイクロ法人」=自分だけの小さな法人を活用した収入の分散・保険料対策です。
マイクロ法人とは何か?その役割と機能
マイクロ法人とは、社員が自分ひとり、または夫婦・家族だけで構成される最小単位の株式会社や合同会社のこと。
たとえば個人事業のうち一部業務を法人化することで、法人税の低税率(15%)と厚生年金の活用が可能になります。
ポイントは次の2点です:
- 収入を法人と個人で“分散”することで、個人側の所得税・住民税を軽減
- 法人の役員報酬を最小限にすることで、社会保険料の総額を最適化
モデルケースで比較:個人事業のみ vs 法人併用
以下は、年収900万円のフリーランス(配偶者あり・子なし)を想定したモデルケースです。
①:すべて個人事業で運営した場合
- 売上:900万円
- 経費:150万円(家事按分込み)
- 課税所得:約630万円
- 所得税+住民税:約125万円
- 国保・国民年金:約100万円
- 手取り:約525万円
②:「個人600万円+法人300万円」で分けた場合
法人は別口座・別契約で「業務委託費」などを受け取る設計です。
個人側
- 売上:600万円
- 経費:100万円
- 課税所得:約380万円
- 所得税+住民税:約65万円
- 国保・国年:約75万円
- 手取り:約360万円
法人側
- 売上:300万円
- 役員報酬:月額6.3万円(年76万円)
- 社会保険料:約25万円
- 法人税(利益約150万円):約22万円
- 実質手取り:約180万円
合計手取り:約540万円(+15万円の効果)
なぜ役員報酬は月6.3万円なのか?
社会保険(厚生年金・健康保険)の保険料は、標準報酬月額によって決まります。
月6.3万円というのは2025年時点で最も低い等級に該当し、会社・個人合わせても年間25万円前後の負担に抑えられます。
これにより、
厚生年金に加入しつつ、保険料を最小限にできるのです。
どんな人に向いている?判断ポイント
- 年収700万円以上で、毎年100万円以上の税・保険料を払っている
- ある程度の経費処理が可能(仕事部屋、旅費、通信費など)
- 法人管理の手間を許容できる(別会計、登記、税務申告など)
- 長期的に働き続ける予定がある(年金対策として)
逆に、所得が少ない方や、短期的な収入しか見込めない場合は、費用倒れのリスクもあるため注意が必要です。
まとめ:マイクロ法人は“税の仕組みを知る”入口にもなる
マイクロ法人の設計は節税テクニックに見えるかもしれませんが、実は税と社会保険制度の構造的な知識を得る絶好の機会でもあります。
節税とは「逃げ道」ではなく、「制度を活かす知恵」です。マイクロ法人はその一つの選択肢として、ライフステージや収入構造に合わせて検討してみてください。
実行の際は、税理士やFPなどの専門家と相談し、自分に最適な方法を見つけるのがベストです。