
日本人と乳製品の知られざる関係
学校の給食に毎日のように出てくる牛乳。
私たちは小さい頃から「牛乳を飲めば背が伸びる」「骨が強くなる」と教わってきました。
けれど、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
それ、本当に“あなたの体に合った常識”なのでしょうか?
■ 日本人の90%近くが「牛乳に弱い」
実は、日本人の約8〜9割が**乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)**という体質を持っています。
これは、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」を分解する酵素(ラクターゼ)が成人になるとほとんど作られなくなるというもの。
この体質を持っている人が牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロする・下痢になる・ガスがたまるなど、消化不良の症状が出ます。
それなのに、「みんなで飲むのが当たり前」という給食のルール。これはちょっとナンセンスだと思いませんか?
■ 牛乳神話の始まりは戦後の“非常時対策”だった
戦後の食糧難時代、アメリカの支援によって脱脂粉乳が日本に大量に供給されました。
その後、「牛乳は完全栄養食」として学校給食に組み込まれたのが始まりです。
つまり、**牛乳が当たり前に出されるようになった背景は「栄養」よりも「歴史的事情」**だったのです。
■ 「平等に出す=健康的」ではない
「みんなに同じものを提供することが平等」という価値観が、日本の教育には深く根づいています。
しかし、それが体に合わないものまで無理に食べさせる制度になってしまっているとしたら…それは本当に“教育的”なのでしょうか?
実際、牛乳が合わずに体調を崩したり、給食の時間がストレスになる子どもも少なくありません。
栄養のための食事が、かえって健康を損なうリスクになってしまっているのです。
■ 牛乳でなくても、カルシウムは摂れる
誤解されがちですが、カルシウムは牛乳でしか摂れないわけではありません。
小魚、海藻、豆腐、野菜など、日本人の体に合った食品からも十分に補うことができます。
また、豆乳やアーモンドミルクなどの植物性ミルクも、最近では栄養価が高く選択肢も広がっています。
■ 「常識」を問い直す力が、未来の健康をつくる
「牛乳は体にいい」というイメージは、必ずしも間違いではありません。
けれど、それがすべての人にとって“正しい”わけではないという事実にも目を向けるべきです。
私たち一人ひとりの体は、育ってきた文化や遺伝的背景によって違います。
誰かの“常識”が、あなたの体にとっての“非常識”であることもあるのです。
■ 最後に
もしあなたやお子さんが「牛乳を飲むとお腹の調子が悪い」と感じたことがあるなら、
それは「甘え」や「好き嫌い」ではなく、体が正直に発しているサインかもしれません。
食育や健康の話にこそ、「みんな同じ」ではなく「一人ひとりに合った視点」が必要です。
その第一歩として、ぜひ今日の食卓で「これって本当に私に合ってる?」と問いかけてみてください。